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牛窪恵の女ゴコロがブームをつくる! 第3回「三平女子」

ステイタス男よりオタクがモテる!? 盛り上がるオタ婚市場

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます!

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ステイタス男よりオタクがモテる!? 盛り上がるオタ婚市場 – Business Journal(10月2日)

オタク婚活パーティー「アエルラ」のサイトより

 『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ系列)などでおなじみの世代・トレンド評論家、牛窪恵氏。本連載では、8月23日に『男女1100人の「キズナ系親孝行、始めました。」』(河出書房新社)も出版した牛窪氏が毎回、賢くも楽しく生きる女子たちの“生態”を通じて、彼女たちが新しいマーケットやブームをつくりだしていく現実と可能性について探る。日本の将来は、女ゴコロしだい!?

「三平(さんぺい)女子」という言葉をご存じだろうか?

 かつてバブルの時代には「三高(高学歴、高年収、高身長)」こそが、女性が結婚相手に求める典型的な条件だった。ところが、イマドキの20代女性は、未来の夫に「平凡な見た目」「平均的な年収」「平穏な性格」の「三平」を求める。

 実はこの言葉を命名したのは、私だ。昨夏、20代~アラサーの女性にたびたびインタビューさせていただく中で浮かんだ言葉で、その後、毎日新聞やフジテレビの人気番組『Mr.サンデー』などで取材していただくと、少しずつ認知され始めた。

 さらに今年に入ると、婚活業界ではオーネットやノッツェが結婚に関して「三平女子」がどれぐらいに及ぶか、という調査を行った。

 その結果、「自分が三平女子だと思う」と答えた女性は、オーネットで56.3%ノッツェでは72.8%に及ぶなど、圧倒的多数。この結果には正直、言い出しっぺの私も驚いた。

 もっとも、両調査では「女性が男性に希望する年収は682.6万円!」(ノッツェ)、「理想の結婚相手、1位は向井理さん」(オーネット)という結果も。

 ネット上では「それって三平かよ!」といった男子からの突っ込みもあったが、これは聞き方の問題が大きい。いくら三平であっても、「理想の~」「希望の~」と聞かれれば「そりゃ、いいほうがいい!」と思うのが女のさが。

 だが、私たちが複数の雑誌で、未来の夫の「理想年収」と「妥協年収」に分けて聞くと、妥協年収はおおむね「年収400万円前後」となる。

「三平」が求められる理由

 なぜイマドキの若い女性たちは「三平」を求めるのだろう。端的にいえば、彼女たちは私のようなバブル女と違い、極めてリアリストで賢いから。結婚にいたずらに夢を見ないし、無謀な高望みもしない。気の合う「フツメン(普通の男性。注:褒め言葉)」と、安全・安心なフツーの結婚生活を送りたい。そのほうがリスクが低いことを知っているからだ。

 その流れで、20~30代の三平女子が「結婚相手にいい!」と言い出したのが、安心•安全な公務員男性と、AKB48 などのアイドルオタクに代表される男性たち。

 私が「ゆるオタ君」と呼ぶ男性で、その人気の秘密は以前、私のインタビュー記事『AKB男が大モテ?「ゆるオタ君」が人気の婚活市場で幸せゲット!』でもご紹介いただいた。総じて女性への「リスペクト」魂があり、妻の趣味にも寛容で、風俗やギャンブルにあまり関心がなく、仕事人間でもない。家事・育児にも一定以上の関心がある。

 さらにいま、未婚女性たちは、話題の「オタ婚活」市場にも熱い視線を送っているのだが……それに関して、詳しくお話ししよう。

 三平女子がよく口にする驚きの結婚観は、次のとおりだ。

 (1)ヘタにモテるイケメンは、浮気リスクが高い
    →それなら、自分だけを大事にしてくれるフツメンのほうが安心

 (2)年収1000万円以上の男性は、得てして浪費傾向があり「上から目線」
    →それなら、自分を尊重(リスペクト)してくれる男性のほうが心地いい

 (3)仕事がデキても「仕事人間」の男性は、概して家事や育児を手伝ってくれない
    →それなら、仕事はそこそこ、イクメン予備軍の男性のほうがラク

 震災後の「おひとりさま不安」も、理想のパートナー像に変化を与えた。いざというとき頼りになる、いわゆる「サバイバル男子」が注目され始めたのだ。

 サバイバル、と聞くと「マッチョな腹筋男」をイメージする人も多いだろう。確かに以前、オーネットのベテランアドバイザー岸野芳子さんが教えてくれたのは、「震災後、自衛隊員の人気が急上昇している」との事実。

 被災地の人々に尽くす姿(映像)を見て、「頼れる」「カッコイイ」と感じた女性も多かったようだ、とのこと。いささか女性は単純だ。

理系、オタク男子が人気?

 一方で、私が取材した20~30代女性たちからは、こんな声も上がった。

「(震災の)計画停電の影響で、会社のパソコンが壊れた。もう目の前が真っ暗。それをササッと直してくれたシステム部の新人クンに、マジで惚れそうになった」

「最近、地味でも理系で、家電とか登山とかアウトドアとか好きな男子に憧れる。大災害がきても、電源確保したり火を起こしたり、いろいろ知ってて助けてくれそう」

 そう、サバイバル男子は、体力だけでなく「知力」が大事。とくにパソコンやネットのシステムに強い、理系やオタク寄りの男性のほうが、見栄ばかり張っていざとなると逃げ出す「ステイタス男」よりも結婚相手に向く。三平女子は、そのことに気づいた。

 そこで再び浮上するのが、私が拙著『「ゆるオタ君」と結婚しよう!』(講談社)で取材した、ゆるいオタク男子、いわゆる「ゆるオタ君」だ。

 ご存じのとおり、最近は「オタ婚活」と言われる市場も花盛り。

 アニメやマンガ、ゲーム、アイドル、鉄道など、同じ趣味を理解し共有し合える者同士で相手を見つけよう、との動きだ。

 以前から、水瀬洋さんが主催するカップリングパーティ「オタ恋」のように、個人で活動する例はあった。だが、10年秋に埼玉・鷲宮(わしのみや)の商工会が旗振り役となり、アニメ『らき☆すた』(テレ玉ほか)の聖地(舞台)である地元の鷲宮神社やその周辺で「オタ婚活」を始めると、民間企業もこの市場に注目するように。

 そしていまオタ婚活は、意外な理由から、マーケットを拡大している。

 その意外な理由とは……?

 実は、オタクはもはやニッチ層ではない。

 しかもそれは、男性に限ったことではない。以前もご紹介したが、ある調査で「自分で自分をオタクだと思う」「自分ではオタクだと思っていないが、そう言われる」と答えた15~39歳男女が、1万人のうち38.1%と、約4割(11年 電通「オタクがラブなもの研究所」調査)。

意外に多い「隠れオタ」女子

 調査結果に“男女”とあるとおり、女性の間でも昨今、BL(ボーイズラブ)やコスプレ人気を背景に、ライトな「ゆるオタ女子」が急増しているのだ。
 
 ただし取材してみて分かったのだが、女性には「隠れオタ」が圧倒的に多い。「恥ずかしい」「腐女子と思われたくない」などの理由から、趣味を隠している。裏を返せば、三平女子の中にも、少なからず「ゆるオタ女子」が含まれているわけだ。

 だからこそ、オタ婚活の場にも、三平女子が「参加したい」と訪れる。それに伴って、市場人気はうなぎのぼり。

 先の「オタ恋」や結婚相談所のファーストコンタクトが運営する「ヲタ恋」、元衆議院議員のたるい良和さんが代表を務める「Im single」のオタ婚活パーティ、そしてテレビや雑誌でも報道される機会が多い「アエルラ」などが着々と参加者を増やし、カップリングにも成功している。

 みずからも「オタ(ゆるオタ)」を自認する、ナゲット(「アエルラ」のサイトを運営)の代表取締役、長谷川剛さんによると、「最初から同じオタク同士が集まると分かっていれば、気兼ねなく趣味の話ができて、心を開ける」という。

 同社は11年6月のサービス開始以来、ほぼ毎週末の割合で婚活パーティを開催。今年8月からは、東京だけでなく関西にも開催拠点を広げた。参加基準は、「20歳以上の未婚男女で、アニメやマンガ、ゲーム、アイドル、鉄道など、なんらかの分野のオタクであること」。
 
 人気の回は、男女10人ずつほどの枠に2倍以上の応募があるそうだ。カップル成立は1回につき平均4~5組程度と、なかなかの成功率と言えるだろう。

 もちろん、課題もある。私が過去に取材したオタクの祭典「コミケ(コミックマーケット)」や秋葉原の「ガンダムカフェ」で見聞きした印象だが、オタクの男女は趣味に対して極めてピュア。それを“商業主義”の道具にされるのを嫌がる。

「15~39歳男女の4割を占める市場」と聞いて、魅力を感じるのは当然だが、たとえビジネスチャンスが眠っていても、彼らの思いを理解しないまま「儲かりそうだから」と市場に参入するのは難しい。

 逆に、成功している企業は、得てして「ゆるオタ(オタ)男女」がそのビジネス構築に関わっている。三平女子も含め、ゆるオタ君を狙う人たちはまず、彼らの気持ちを理解することから始めてみてはどうだろう?
(文=牛窪恵/マーケティングライター、世代・トレンド評論家、有限会社インフィニティ代表取締役)

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最終更新:2012/10/04 22:03
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