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ファンにはたまらない仕掛けが満載! “ボーン”3部作のアナザーストーリー『ボーン・レガシー』

blmain.jpg(C)2012 Universal Studios. All Rights Reserved. 配給: 東宝東和

 今週は、過去の大ヒットシリーズや定番の映像コンテンツのエッセンスを継承しつつ、新たな魅力を獲得しているハリウッド製アクション2本を紹介したい(いずれも9月28日公開)。

 『ボーン・レガシー』は、マット・デイモンが記憶喪失のCIA特殊工作員ジェイソン・ボーンを演じた『ボーン・アイデンティティー』(03)に始まる“ボーン”3部作の世界観を引き継ぎ、もう1人の工作員が巨大な陰謀と戦う姿を描く。最強の暗殺要員を人工的に作り上げるため、CIAが進めてきた極秘プログラムは、実は複数存在していた。その1つ、「アウトカム計画」で肉体改造されたのがアーロン・クロス(ジェレミー・レナー)。だが、ボーンが起こした事件により機密の一端が暴かれたことで、CIA上層部は全プログラムの抹消と養成した工作員らの抹殺を指示。アーロンは迫る追っ手を次々に倒しながら、計画の重要な鍵を握る科学者マルタ(レイチェル・ワイズ)を伴い、生き残りを賭けた逃避行に旅立つ。

 メガホンを取ったトニー・ギルロイは、前3部作の脚本を手がけたほか、監督デビュー作の『フィクサー』(07)ではいきなりアカデミー賞の監督賞など7部門でノミネートされた才人。“ボーン”シリーズの特徴だった細かなカット割による刺激的な高速アクションシーンを今作でも存分に見せてくれるほか、CIAの主要幹部に扮したキャストの続投、『ボーン・アルティメイタム』(07)の一部シーンの再現など、シリーズのファンを喜ばせる仕掛けもばっちり。オートバイを10台所有するほどの熱心なバイク乗りでもあるレナーが、レイチェル・ワイズを後ろに乗せてマニラ市街で繰り広げるチェイスはスリル満点。この終盤のチェイスで2人を追走する日系人俳優のルイス・オザワ・チャンチェン(『プレデターズ』のヤクザ役)は、『ターミネーター2』(91)でシュワちゃんと戦った白バイ警官を彷彿とさせる強烈なキャラクターを演じており、あり得ないほどの無敵感が笑いさえ誘う。見どころの多い本作、その世界観をしっかり楽しむためにも、前3部作を未見の人は予習をお忘れなく。

 もう1本の『ハンガー・ゲーム』は、全世界で累計7,000万部を突破したヤングアダルト小説を、『シービスケット』(04)のゲイリー・ロス監督、『ウィンターズ・ボーン』(11)でアカデミー主演女優賞ノミネートのジェニファー・ローレンス主演で映画化したサバイバルアクション。わずかな富裕層が住む都市キャピトルと12の隷属地区で構成される近未来の独裁国家パネムでは毎年、「ハンガー・ゲーム」と呼ばれる殺りくゲームが開催されてきた。各地区から十代の男女1人ずつ計24人がプレイヤーとして選ばれ、森林や草原や川といった自然環境の“闘技場”で殺し合い、その様子は全国民の娯楽としてテレビ中継される。弓矢が得意な少女カットニス(ローレンス)は、幼い妹に代わってプレイヤーとなり、同地区選出の少年ピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)とともに命懸けの戦いに臨む。

 原作者のスーザン・コリンズは、戦争報道とリアリティー番組を流し見しているうち、この「殺人リアリティーショー」のアイデアを思いついたという。やはり近未来の殺人サバイバルゲームを描いた『バトルランナー』(87)の原作者であるホラー小説の巨匠スティーブン・キングも、コリンズの原作を大絶賛。ほかにも邦画の『バトル・ロワイアル』(00)など、類似したテーマの作品は過去にいくつかあるが、ジャンヌ・ダルクを思わせる気高きヒロインの魅力が、幅広い世代に支持される要因だろう。全米公開では『アバター』(10)以来の4週連続1位というメガヒットを記録し、すでにシリーズ化も決まった本作。同じくティーン向け小説が原作で一大ブームを巻き起こした『トワイライト』シリーズが『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』(12月公開)で完結する今年、バトンを受け継ぐように新たな強力シリーズが登場してくるあたり、米エンタメ界の層の厚さを思わずにはいられない。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『ボーン・レガシー』作品情報
<http://eiga.com/movie/56727/>

『ハンガー・ゲーム』作品情報
<http://eiga.com/movie/57839/>

最終更新:2012/09/29 18:00
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