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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 【清野とおるの、キ○チ○ガ○イと呼ばないで】第6話「謎の美人くだもの売り」

【清野とおるの、キ○チ○ガ○イと呼ばないで】第6話「謎の美人くだもの売り」

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 そしてつい最近の深夜0時過ぎ。わが町、北区赤羽で、カートに梨をワンサカ乗せた、爽やか好青年に声をかけられた。

「コレはまさしくアレの類だ!」

 そう確信した俺は、一個300円の梨を思い切って購入し、彼の素性を尋ねてみた。

「僕、『D』という果物販売会社の者でして、採れたての新鮮な果物をこうして売り歩いているんです」

 名刺やチラシの類は持ち合わせていないとのことだったので、彼と別れた直後、すぐさま自慢のアイフォーン4Sで『D』という会社名を検索してやった。去り行く彼が、まだ俺の視界にバッチリ収まっちゃってるくらい速攻で検索してやったともさ。

 『D』は都内にいくつもの支店を持つ、果物訪問販売の会社のようだ。担当者が毎日市場へ出向き、その日一番の国産果物を仕入れ、20~30代中心の販売スタッフによってあちらこちらで手売りされてるらしい。

 住宅街やオフィス街を中心に飛び込み訪問販売していて、売れ残ったものを駅周辺や道行く人たちに売りさばいているようだ。

 値段が若干高めな上、一部の販売員の果物の説明がかなり適当だったりと、少しばかり胡散が臭く、一部では「マルチではないのか?」という声も上がってるようだが、販売の仕方は割と控えめだし、被害らしい被害も特に出ていない模様。販売地域を拡大して、今でもさまざまな街を練り歩いているようだ。

 まあ、良くも悪くも、こういう謎めいた人たちがその辺にいるのって、胸が躍って楽しいですよね。街の雰囲気にもコクが出るし。話のネタにもなるし。

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 俺も彼らみたいに、ダンボールに売れ残った自分の単行本抱えていろんな街を売り歩いてみようかな。

 そしたら通行人の同情を引いて、結構売れるかもしれないし。

 まあ、売れないわな。てへぺろりーん(。・ε・。)
(文・イラスト=清野とおる)
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●せいの・とおる
1980年生まれ。東京都板橋区出身。地元・赤羽に生息する奇妙な人々を生き生きと描いた漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン )が大ヒット中。
Twitter <https://twitter.com/seeeeeeeeeeeeno>

●【キ○チ○ガ○イと呼ばないで】INDEX
【第5話】「オモシロイ顔のおじさん」
【第4話】「ウンコおじさん」
【第3話】「恐怖!‟木曜日の男”」
【第2話】「鳥盗り物語」(後編)
【第2話】「鳥盗り物語」(前編)
【第1話】「ホモビデオの清野さん」

最終更新:2018/12/18 15:24
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