計算尽くされた演出なのか、デタラメなのか……『水曜どうでしょう』はなぜ面白い?
#テレビ
「ヨーロッパ・リベンジ」』
(北海道テレビ)
北海道のローカル番組としてスタートしながら、いつのまにか全国的な人気を集め、大泉洋ら出演者をスターダムに押し上げてしまった伝説的番組『水曜どうでしょう』。その勢いは今もまったく衰えを知らぬようで、DVDや関連本はことごとく大ヒット。2011年には、新作「原付日本列島制覇」を初めてオンデマンド配信し、史上最多のダウンロード数を記録した。
もっともこの『どうでしょう』、あらためてどこが面白いのかと聞かれると、ほとんどの人は困ってしまうようだ。
「仲間内でだらだらやっているだけなんだけど、なんか面白い」「どこっていわれても、言葉で説明できない」「何回見ても面白い。でも、何回見てもどんな内容だったか覚えられない」
ところが先日、この問いに答えを出そうとする本が出版された。『結局、どうして面白いのか ──「水曜どうでしょう」のしくみ』(フィルムアート社)。臨床心理学者であり『どうでしょう』ファンでもある著者・佐々木玲仁氏が、構造主義や記号論、さらには自分の専門である心理学の手法を動員して、その面白さを構造的に解き明かそうと試みた一冊だ。
あのゆる~い番組がアカデミズム的分析の対象になるとはびっくりだが、この本にはもっと驚かされたことがある。
ご存じのように『どうでしょう』には、大泉と鈴井貴之という2人の出演者のほかに、ディレクターの“藤やん”こと藤村忠寿と、カメラ担当の“うれしー”こと嬉野雅道が声で頻繁に登場。彼ら制作スタッフが出演者と掛け合いをすることで、番組の行き当たりばったりでデタラメな裏側まで見せてしまうというのがひとつの売りになっている。
同書は、この藤やんとうれしーにインタビューをしているのだが、2人はファンが思わず「うそっ!?」と叫んでしまいそうな衝撃的な発言をしているのだ。
たとえば、番組では出演者たちの行動に、ディレクター藤やんがただただバカ笑いするというのが恒例となっているが、これについて藤やんは、こんなふうに語っている。
「俺が見てんのは、その現場じゃなくて、意外とその現場を画面として切り取って笑ってるんですよ。(中略)彼の言ってるセリフとか彼の面白さじゃなくて、それを含んでる全体の状況と画面の画角を見て(中略)その後加工して自分でやることの最終形を見て笑ってるっていう」
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