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海外事業、既存店売上、後継者問題のカギとは?

“外資系企業”ユニクロ、そして柳井正社長の正体とこれから

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“外資系企業”ユニクロ、そして柳井正社長の正体とこれから – Business Journal(9月25日)

『ユニクロ 世界一をつかむ経営』
(日本経済新聞出版社/月泉博)

 年間売上高で8203億円(2011年8月期)、アパレル専門の製造小売業としては世界第5位(10年)の規模を誇るユニクロ(ファーストリテイリング)。

 山口県宇部市の小さなメンズファッションショップだった一地方零細企業は、いかにしてグループ売り上げ目標5兆円(20年)、アパレル製造小売世界一の座を狙うまでになったのか?

 その成長過程と強さの秘密を徹底分析した『ユニクロ 世界一をつかむ経営 』(日本経済新聞出版社)が7月に発売され、話題になっている。本書の著者で、商業開発ディレクターの月泉博氏に、

 「数々の停滞期を乗り越え、国内業界トップの座に上り詰めた理由」
 「ユニクロ創業者で社長の、柳井氏の実像」
 「国内事業、海外事業、そして柳井“後”の経営体制の行方」

などについて聞いた。

――いきなりですが、ユニクロの柳井正社長については、毀誉褒貶いろいろ言われていますが、どんな人なんでしょうか?

月泉博氏(以下、月泉) 公私混同の「私」がない人ですね。あれだけの資産があるにもかかわらず、私欲がなく、すごく恬淡とした性格だと感じます。経済界との交流もほとんどないですし、ごくごく親しい人と食事に行く程度ですね。酒もタバコもやらないですし。ゴルフだけですね。

 しかし、会社の成長・拡大に関しては、すさまじいエネルギーと執念の持ち主です。そのエネルギーと執念はどこから来るのか? 抽象的な言い方ですが、時代の激変の中で、時代の要請が彼を突き動かしているというか、天命のような気がします(笑)。

――その柳井社長は、大学卒業後、大手スーパーのジャスコに入社しましたが、すぐに退職して、しばらく定職に就かない時期がありました。そこから、どのようなきっかけで、ユニクロの前身である小郡商事に入社したのでしょうか?

月泉 柳井氏はジャスコを退職後、今の奥さまとの結婚を考えていたようです。そこで、男性向け衣料品を扱っていた小郡商事を営んでいた父親から、仕事をしていない柳井氏を見かねて「結婚を許すから実家に戻って会社を継げ」と言われて、入社したという経緯があります。ですから、当初柳井氏には「ビジネスをやりたい」という意志が初めからあったわけではなく、成り行きに近かったと思います。しかし、始めてみたら仕事に興味を持ち出したというわけです。

――柳井氏が入社後、以前から小郡商事にいた役員が、次々と辞めていきました。

月泉 ええ。柳井さんは自分の思っていることをズバズバ言うタイプで、古株の人たちにとっては、しゃくに障ったのでしょう。ただ、その当時の会社の経営方針では、「これから大きく成長する」という雰囲気はなかったのではないでしょうか。

急成長の時代

――柳井氏が入られてから、小郡商事が急成長していきました。その理由は何でしょうか?

月泉 あのころはカジュアルというのはおしゃれ着で、デザイナーブランドなど高価なものだったわけです。それに対し柳井氏は、「カジュアルは普段着としてもっと手軽に着られるもの」と考えていました。当時、柳井氏は、たまたまカリフォルニアのスタンフォード大学の生協にフラッと入ったときに、廉価で割といいものを気兼ねなく買えるセルフ販売に出会い、そこにヒントを見いだしました。そして、消費者が雑誌を買う感覚で服を買うようなスタイルを突き詰め、それに近いかたちの店をどんどん出店して、伸びてきました。

 また、ユニクロ1号店では、ラジオで宣伝するなど、地方のメンズショップでは珍しい手法をとりました。当時は、多くの若者が深夜ラジオを聴いていた時代ですから、話題が話題を呼んで広まっていきました。販促とプロモーションのセンスを、もともと持っていたんでしょうね。

――しかしながら、96年ごろから成長が鈍り、停滞期になります。

月泉 郊外ロードサイド型のカジュアルファッションの店は、当時は珍しく、安いこともあり、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いがありました。しかし、その勢いが落ちてきたひとつの要因は、いわゆる「チェーンストア病」というもので、どの店も金太郎飴のように、どこを切っても同じような店ばかり出店していたわけです。それまでは、チェーンストア化することにより、コストを抑えることでメリットがあったわけですが、それがあまりにマニュアル化、過剰適合してきたことで、消費者に飽きられてきたわけです。

空前のフリースブーム

――その後、数年は停滞が続いたわけですが、98年ごろからフリースが大ヒットして盛り返します。

月泉 停滞期の中で、柳井氏は抜本的に会社を変えようということで、外部からアパレル業界以外の優秀な人材を入れて役員を総入れ替えしました。新しい経営陣のもとで、拡販とプロモーション、メディアミックスを行ったことと、原宿への出店がフリースブームを巻き起こしたのだといえます。

 フリースは98年は200万枚、99年が900万枚、00年には2600万枚を売るという空前絶後の記録を打ち立てました。アパレル業界では、通常なら1年目にヒットしたら2年目は生産を抑えるのですが、フリースブームはアパレル業界の既存常識を持たない役員たちの判断があったからこそ実現できたと思います。さらに昨年、ヒートテックが1億枚売れ、自らの記録を破りました。まさに革命だったと思います。

――その後もユニクロは、小売り業界の勝ち組として、常に成長してきました。その理由は何でしょうか?

月泉 デフレを逆手に取ったことです。デフレに順応して国内でせっせと円を稼ぎ、その円をデフレがもっと強くし、円高でさらに強くなった円で原料調達や海外製造コストを抑え、海外企業を買ったり、アジアなど成長国家に出店しています。今勝ち組といわれているニトリやしまむら、ドン・キホーテなども同じです。ユニクロはその代表格なのです。つまり、「デフレでも、日本の消費者が豊かな生活を送れる」ということに気づかせてくれたのがユニクロだと思います。

日本で生まれた外資企業?

――ユニクロは同業他社と比べて、どこが違うのでしょうか?

月泉 柳井氏は「ユニクロは日本で生まれた外資企業」だとよく言います。これまでの同族的な日本式経営ではなく、完全実力主義を取り入れています。ドライではありますが、欧米的な冷たさではなく、「現実的である」ということを徹底しています。「会社とともに自分も成長していくんだ」という価値観を共有する人たちにとっては、働きやすい会社だと、社員の方は言います。

――現実的に、当たり前のことを当たり前にやっているということでしょうか?

月泉 そうです。柳井氏は原理原則に極めて忠実です。しかし、これほど難しいことはないですよね。そういった意味では、柳井氏と他の役員との間に、常に緊張関係があるでしょうね。役員はある意味、一番きついと思います。求められるレベルが高いからです。いくら成長しても柳井氏は絶対満足しません。ですので、特に外部から来た役員の中には、軋轢と緊張関係に耐えられなくなって辞める役員もいます。逆に、現場から上がってきた人はあまり辞めないですね。

――最近、国内既存店の売り上げが苦戦しているとも報じられていますが、要因はなんでしょうか?

月泉 フリースやヒートテックなどの大ヒットを、毎年出すことは無理です。今が底でしょう。そろそろ今年の秋冬は、ヒット商品が欲しいところではないでしょうか。ただ、ひとつ興味深いのは、フリースの場合はユニクロは独り勝ちでしたが、ヒートテックの場合は、イオンなど他社も追随して同じような商品を出し、「ヒートテック市場」ができたわけです。つまり、ユニクロが市場を生み出したわけです。これについては、ユニクロ自身も「いいことだ」と言っています。

海外事業のカギ

――ユニクロは、海外で年間200〜300店舗を出店し、海外事業の比率を高める戦略を強めています。

月泉 欧米で成功するかが、海外事業のカギを握っていますね。欧米では、かっこよさと安さを求め、品質はあまり求めない傾向があります。一方、日本は安さと品質(機能)を求め、ユニクロはそこで勝負していますので、欧米の消費者に対しても、そうした意識付けができるかどうかでしょう。

 ユニクロは極端に言えば、ファッションではなく機能なのです。そうした意識を海外の消費者に広めるために、一昨年、米国でヒートテックを街頭で無料で配ったところ、話題になりました。徐々に受け入れられているようです。

――現在柳井氏は63歳ですが、後継者を含めた今後の経営体制については、どのように見ていますか?

月泉 柳井氏は監督権のある会長のまま、現在の執行役員5名による集団経営体制のようなイメージに移行するのではないでしょうか。柳井氏は、これまで65歳で引退すると言っていましたが、どうでしょうか……。ただ、現在会長兼社長を務めていますが、いつの時点で社長職から外れるかが気になるところですね。
(構成=風間立信/フィナンシャルプランナー)

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最終更新:2012/09/26 07:00
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