月面ナチスが地球侵略!? 『アイアン・スカイ』はファンからの支援金で完成したネオトンデモ映画
#映画 #インタビュー
想定外のドラマが展開されるSF大作『アイアン・スカイ』。
月の裏側にはナチスの秘密基地があり、人類への逆襲のチャンスを虎視眈々と狙っていた。そして、ついに鉤十字マークの空飛ぶ円盤が大挙してNYを襲撃! オカルト雑誌「ムー」の読者が一斉にヨサコイ節を踊りだしそうなトンデモ感溢れるSF映画、それが9月28日(金)より公開される『アイアン・スカイ』だ。ハリウッド産のSF超大作かと思いきや、そうではない。フィンランド、ドイツ、オーストラリアによる合作映画。おバカ映画のふりをして、米国が牛耳る国際社会を痛烈に風刺した超ブラックコメディなのだ。そして、注目すべき点がもうひとつ。総製作費750万ユーロ(約7.5億円)のうち100万ユーロ(約1億円)は、特別映像を見たファンたちの支援金が占めているという点。ユーザー参加型のニュータイプな映像コンテンツとしても話題となっている。お台場で開かれた「フィンランド映画祭」に参加するためティモ・ヴオレンソラ監督が来日。メタルバンドのボーカルでもあり、ノリのいいティモ監督にいろいろと聞いてきました。
──はるばる北欧からお疲れさまです! フィンランドというとムーミンかアキ・カウリスマキ監督ぐらいしか知らない日本人にとって、『アイアン・スカイ』みたいな型破りなSF映画の登場には驚きましたよ。
ティモ ハハハ、フィンランドのイメージってだいたいそんな感じだろうね。今でもアキ・カウリスマキ監督はフィンランド映画の最高峰にいる人だよ。そういうフィンランド映画の中にあって、『アイアン・スカイ』は従来のイメージから大きく掛け離れたものだろうね。『レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース』(10)って作品もかなりブラックなコメディだったけど、少しずつフィンランド映画は変わってきているところなんだよ。
──『アイアン・スカイ』はパッと見、ハリウッドのSFアクション超大作かと思わせますけど、ナチスをネタにした超ブラックな政治コメディであることに途中から気づいて、またまた驚きました。
ティモ そうなんだよ。月にナチスの残党の秘密基地があって地球に攻めてくるというアイデアは脚本家と一緒にサウナ風呂に入っているときに思い浮かんだんだけど、それだけじゃ物足りないと思ったんだ。ただのSF映画にするつもりはなかった。当初からブラックで社会風刺の効いた内容にしようと思っていたんだよ。『博士の異常な愛情』(64)や『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)なんかのイメージだね。あの2つの作品もSF映画ではあるけれど、当時の社会情勢を痛烈に皮肉っているよね。
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