シエラレオネの国境なき医師団が見た『世界で一番いのちの短い国』
2012/09/24 18:00
#本
本書は、リベリア軍側の残虐行為で指や四股を切断された人などの話も出てくるが、感情が落ち込むような重たい本ではない。それは、山本氏の“悲惨さを誇張して見せれば見下す人が現れてしまう”という信条にある。彼らの国にも素晴らしい歴史があり、先進国と対等の尊厳がある、と。だから、どれほど悲惨な状況でも、さらりと書かれている印象だ。また、マジメな話の間には身の回りで起こった笑い話がちりばめられているので、肩肘張らずに読むことができる。
なぜ、シエラレオネでは長生きができないのか? そして、なぜこの日本で、わたしは当たり前のように、“死なずに”今まで生きているのか。それをこの本を通して、自然と考えさせられる。
(文=上浦未来)
●やまもと・としはる
1965年宮城県仙台市生まれ。医師・医学博士・写真家・国際協力師。南アフリカにて人種差別問題に衝撃を受け、中学生の頃から数十カ国を撮影。「本当に意味のある国際協力」について考え続ける。2000年より数々の国際協力団体に所属、アフリカや中東で医療援助活動を行う。2003年より2年間、国境なき医師団・日本理事。2004年、東京都からNPO法人の認証を受け「宇宙船地球号」を創設。「持続可能な世界」の実現を目指し、世界に目を向ける人々の育成を行う。
最終更新:2012/09/24 18:00
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