近所のサンクスがセブンに! 大手に喰われ消えるサンクス
#セブンイレブン #Business Journal
サンクスから地域本部の奪取の姿勢を強めているのがローソンである。富山県の、なのはな農協の子会社であるサンクスの地域本部は11年7月、サンクス富山の77店をローソンに譲渡した。セブン-イレブンが09年1月、富山県に初進出したことがきっかけとなった。セブンはサンクス近くに出店してシェアを奪う作戦に出た。危機感を募らせたサンクス富山はローソンに転換して生き残りをはかることになった。
富山県ではサークルKサンクスがトップだったが、サンクスが離脱して、サークルKのみの店舗に戦線を縮小。現在、ローソンが182店でダントツ。セブン-イレブンが82店で、サークルKサンクスは75店にとどまる。
ローソンとサークルKサンクスのガチンコ勝負は、サンクスの地域本部で、東証1部上場のシー・ヴイ・エス(CVS)・ベイエリア(浦安市)のケースで起きた。CVSは千葉、東京湾岸地域でサンクスを128店舗展開。東京圏で相対的に店舗数が少ないローソンには喉から手が出るほど欲しい物件だった。チェーン離脱をめぐって本部とCVSが係争する事態となり、その後、和解が成立した。CVSはサンクスを離脱し今年1月、ローソンに鞍替えした。
7&iの鈴木会長はセブン-イレブンの国内の店舗数を今後数年間で3万店規模を目指す方針を打ち出した。7月末の全国のコンビニ店舗数は4万5671店。業界では5万店で飽和状態になるとみている。飽和に達したとき6割のシェアを確保するのが鈴木氏の狙いだ。経営の根幹に置いていたドミナント戦略をひとまず棚上げにして、空白地域への出店に舵を切った。
セブンは09年1月の富山県への出店を皮切りに福井、島根、石川の各県に出店。11年3月、鹿児島県に、今年5月には秋田県に進出した。そして、来年春には愛媛、香川、徳島、高知の四国4県に看板を掲げる。この結果、47都道府県のうち青森、鳥取、沖縄の3県を除き、全国をカバーすることになる。
12年2月期の国内のセブン-イレブン全店舗の売上高は3兆2805億円。単一チェーンとして年間売上高が3兆円を超えたのは国内の小売業で初めてのことだ。鹿児島県などで出店を増やしたことが寄与した。
四国でもサンクスの地域運営会社に触手を伸ばす。香川県と徳島県でサンクス124店を展開するサンクスアンドアソシエイツ東四国(高松市)がセブン-イレブンへの鞍替えを希望している。来年1月にサークルKサンクスとの契約が満了するのを機にセブン-イレブンと契約する方針だ。
サークルKサンクスは、「契約上、東四国はサンクス以外のコンビニ事業は行えない」として差し止めを求める訴訟を8月に東京地裁に起こした。サンクスを離脱してローソンにチェーン換えしたCVSとまったく同じ構図だ。サンクスの地域本部は大手コンビニの草刈り場となった。
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