テレビ市場に異変! 王者ソニーの強敵として東芝が急浮上?
#Business Journal
日本メーカーの幹部の中には「理屈はわかるが、購入の理由にはならない」と否定的な見方が多い。確かに、インターネットとテレビの融合は何年も前から指摘されながらも、進んでこなかった。だが、すでにテレビの活用形態が変わる地殻変動はジワジワと起きている。既存のテレビに付けるだけでスマートテレビ化できる、セットトップボックスと呼ばれる端末が浮上している。米国ではマイクロソフトのゲーム機「Xbox360」をテレビに接続して、映画配信などを楽しむ層が増えている。
決定的な動きになりそうなのは、米アップルが発売するのではとの観測が広まる「iTV」の動向だ。アップルの各種機器との連携に加え、アップルストアで購入した音楽や動画などのコンテンツを、テレビで楽しめる。従来のアップル機器の購入者を見ればわかるように、彼らが求めるのが画質の高さなどではないことは、誰の目にも明らかだ。ここで重視されるのは、コンテンツ数の豊富さや操作性などの利便性だ。こうした層がテレビ市場に流れ込めば、競争軸は完全に変わる。
次世代へシフト急ぐ韓国勢
すでにサムスン電子とLGの韓国勢は、全テレビをスマート化させ、次世代シフトを急ぐ。日本メーカーも出遅れながらも、スマートテレビの発売に重い腰を上げている。スマホ連携してテレビを発売するなど、スマート化の流れに乗ろうと必死だ。だが、スマート化の流れで重要なのは、ソフトやサービスの利便性。単にネット接続を進めればよいのではなく、その先が重要になる。テレビは極論すれば、ネット上にある膨大なコンテンツを映し出すモニターにすぎなくなるのだ。
成長の可能性を秘めるソニー
こうした変化の中では、日本勢で一番戦える状況にあるのはソニーだ。音楽、映画会社を傘下に持ち、スマホやタブレットなどテレビと連携を進めるハードも豊富だ。「もはやハードの差別化はできない」とハワード・ストリンガー前会長は宣言しており、アップル流のビジネスを追い求める下地は、表面上は整っている。
ただ、内実は8期連続の赤字を垂れ流しており、今期も赤字は確実。有機ELディスプレイなど画質を追い求める姿勢も変わっていない。台数ベースでは東芝に抜かれるものの、金額ベースではいまだに日本勢では首位。テレビ事業の全社に占める割合も小さくないだけに、ハードランディングへの決断が下せずにいる。
パナソニックも白物家電へのシフトを急ぐが、テレビと白物との関係性をどう位置付けるかは見えぬまま。テレビ、液晶一本足だったシャープは、アップル向けに中小型液晶を供給するサプライヤーとしての生き残りしか見えてこない。
見通しの甘さをどこで是正できるかがカギ
一方、脱ハードを一番意識しているともいえる東芝は、肝心のソフト力がソニーに比べ劣る。主力の社会インフラ事業との連携を進めているとの指摘もあるが、現実的なサービスは見えこない。
各社「脱テレビ」を掲げながらも、大ナタが振るえなかった。今起きつつあるテレビのパラダイムシフトの最終便に乗り遅れたら、再び近いうちに「テレビ発の悪夢」に悩まされることになるだろう。高画質は技術の高さを示し、ニッポン技術の誇りではあるものの、そうしたテクノロジーを有する企業が残ってこそ、の話ではある。
現実を見据えるのか否か――家電大手の瀬戸際は、まだまだ続きそうだ。
(文=江田晃一/経済ジャーナリスト)
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