トーハン会長の引退で出版界の地殻変動が始まった!
#Business Journal
トーハンは、小城氏が丸善の社長に就任する前に、窮地に陥っていた丸善へ出資しており、日販よりもその関係は濃かった。丸善CHIホールディングスとなった今でも、第4位の株主でもある(平成24年の有価証券報告書)。それにも関わらず、丸善はトーハンと競合する日販への帳合変更という事態に至ったのである。
こうした事態を見て、講談社、小学館といった2大出版社がトーハンの新体制を批判した。それに加えて、これまで不満が溜まっていたナンバーワン書店までもが、新体制移行問題という格好の契機に反旗を翻した。
市場規模が年々落ち込んでいる出版業界だが、2大取次も売上高を落としている。そうした状況下で、取次業のトップに君臨していたトーハンがその座を日販に明け渡した。その間、トーハンで実質的に経営を牛耳っていたのは誰なのか。売上減少の責任は誰にあるのか。流通システムやあらゆる売上増・返品減の施策で日販よりも一歩も二歩も遅れたのはなぜなのか。こうした問題と今回の帳合変更は決して無関係ではないだろう。
最後に今回の事態をみて憤る書店関係者の話で締めくくりたい
「日販もトーハンも、そして帳合変更する店も大変なのは現場の人たち。お店の売上・利益が上がるというなら積極的に協力するが、結局は政治的な意味合いでの帳合変更。それに振り回されておびただしい業務をこなさなくてはいけない現場の気持ちをもっと分かってほしい」
(文=碇泰三)
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