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仏映画史歴代No.2ヒット! ありえない出会いが生んだ、人生の転機『最強のふたり』

m0000000686.jpg(C) 2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP

 今週紹介する新作映画2本は、人生を楽しむ極意をユーモアたっぷりに描き、笑いの中に自分らしく生きるためのヒントをちりばめた感動コメディだ(いずれも9月1日公開)。

 『映画 ひみつのアッコちゃん』は、60年代に「りぼん」(集英社)に連載されテレビアニメ化もされた赤塚不二夫の少女漫画「ひみつのアッコちゃん」を、綾瀬はるか主演で実写化した作品。小学生の加賀美あつ子は、鏡の精からもらった「魔法のコンパクト」で22歳の女子大生アッコ(綾瀬)に変身。デパートの化粧品売り場で大好きなメイクを楽しんでいると、前日遊園地で出会った年上男性、化粧品会社勤務の尚人(岡田将生)と再会する。大人の常識にとらわれない発想が気に入られ、バイトとして雇われたアッコは、会社を立て直すため新商品開発に取り組む尚人を助けようと奮闘するが……。

 「魔法で変身」という原作の基本コンセプトに、「メイクで美しく変身」「努力で願いをかなえる」という要素を巧みにオーバーラップさせたオリジナルストーリーが展開。時代設定は現代に置き換えられているが、綾瀬はるかの衣装に60年代ファッションのテイストを盛り込むオマージュも。共演陣には谷原章介、吹石一恵、塚地武雅、大杉漣、香川照之など豪華な顔ぶれが揃った。メガホンを取ったのは『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』などコミックの実写映画化で定評ある川村泰祐監督。大人になり日々忙しく過ごすうちに忘れがちな、子どもの頃の純粋な想いや夢を思い出させ、“願い”がもたらすパワーに改めて気づかせてくれる快作だ。

 『最強のふたり』は、実話に基づく笑いと涙のフランス製ドラマ。パラグライダーの事故で首から下が麻痺した白人の富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、スラム育ちで前科のある黒人青年ドリス(オマール・シー)を住み込みの介護人として雇う。社会的属性も趣味もまったく異なる2人だが、唯一の共通点は“偽善を嫌い本音で相手と向き合うこと”。衝突を繰り返しながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく。そんなある日、ドリスの家族に重大な問題が持ち上がり、2人の関係は存続の危機に……。

 重度の障害者を主人公に据えながら、表面的な美談でも同情を誘う悲話でもないのがいい。排泄の世話や性欲の処理といった話題もタブー視しないで取り上げているばかりでなく、2人のユーモラスなやり取りについつい笑わされ、気づくと目頭が熱くなっているという具合。本国フランスで同国映画史上歴代2位の興行成績を達成したほか、欧州各国で記録的ヒットを打ち立てたのは、昨今の経済危機と移民問題に苦しむ欧州の人々が本作に光明を見出したからという面もありそうだ。ただしそれだけではなく、「人生は気持ちの持ち方ひとつで好転する」という普遍的なメッセージが込められているからこそ、各国の幅広い世代に支持されるのだろう。アース・ウインド&ファイアーの懐かしいヒット曲が効果的に使われ、ポジティブ思考のドリスのキャラクターをポップに表現している点も好印象だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『映画 ひみつのアッコちゃん』作品情報
<http://eiga.com/movie/57257/>

『最強のふたり』作品情報
<http://eiga.com/movie/57365/>

最終更新:2012/08/31 21:00
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