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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.186

“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』

dictator01.jpg故金正日に捧げられた『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』。欧米で
大ヒットを記録したが、北朝鮮や中東での上映予定はないようだ。

 軍需産業で大儲けしたプレイボーイ、二重人格の科学者、70年の眠りから目覚めたバリバリの愛国者、遠い星からやってきた雷神さま……、それぞれピンで活躍していた人気ヒーローたちが“世界平和”という大義名分のために大同団結する『アベンジャーズ』が大ヒット公開中だ。作品にテーマはなくとも、CGと人気キャラクターをぎゅうぎゅう詰めにしたビッグマック的な味わいで歴代映画興収1位の座に迫っている。そんな正義のヒーローたちが大集合した米国の映画興行シーンに、果敢に立ち向かったのがサシャ・バロン・コーエン主演のコメディ映画『ディクテーター(独裁者) 身元不明でニューヨーク』。中東のとある小国の独裁者を主人公に、アメリカ社会の奇妙さを痛烈に皮肉った内容となっている。

 サシャ・バロン・コーエンはカザフスタンのTVレポーターに扮した『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(06)、ゲイのファッションレポーターに成り済まして中東や米国南部をめぐった『ブルーノ』(09)といった“やらせ”ドキュメンタリー映画で爆笑を呼んできた過激な英国コメディアン。今回は『アリ・G』(02)以来となる、久々に脚本ありの主演ドラマ。中東の小国・ワディヤ共和国に君臨する、生まれながらの独裁者アラジーン将軍役だ。国内で開かれた競技大会はすべて驚異的な新記録で優勝し、夜はハリウッドから呼んだセレブ(ミーガン・フォックス)にベッドの相手をさせるなど、オイルマネーと権力を笠にやりたい放題。最近熱中しているのは核ミサイルの開発。「ミサイルの先っちょは尖ってないとダメ」というアラジーンのこだわりに異議を唱えた科学者ナダル(ジェイソン・マンツォーカス)はすぐさま処刑されてしまった。イラクのフセイン、リビアのカダフィ、北朝鮮の金正日の3人をブレンドしたようなアホバカ&わがままキャラクターだ。

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