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拉致問題解決は間近!? 金正恩第一書記が日本政府へメッセージ?

 11年ぶりに見る平壌は「見違えるようでした。人々の表情は明るいし、ファッションはオシャレになっているし、携帯電話をかけたりしている」(藤本)

 通称「8番宴会場」と呼ばれる場所で金正恩第一書記と会った。彼は李雪主夫人を従えて待っていた。我を忘れて走り寄り金正恩に抱擁したとき、涙が止めどなく流れたという。その時の様子が写真に撮られている。叔父で金正恩の信頼を得ているといわれる張成沢党行政部長とも親しく挨拶した。

 歓迎の宴会は高級ボルドーワインを呑みながら行われた。藤本が持ち込んだマグロを食べ、フカヒレやアワビのご馳走が並んだ。そんな中で、藤本は「正恩王子」に言いたかったことを手紙にしたため、通訳に代読してもらったというのだ。

 彼は「拉致問題」という言葉は北朝鮮の幹部たちのプライドを傷つけるため使わなかったが、「正恩王子と再会できるこのチャンスに、拉致問題を早く解決し、日本と国交を結んでほしいとお願いしたのです」(藤本)

 金正恩第一書記は肯きながら聞いていた。「私は、正恩王子がすぐに行動を取ることを確信しました」(藤本)。彼は2000年に元山(ウオンサン)の将軍の別荘へ行ったとき、横田めぐみさんらしき女性とバッタリ出会ったのだそうだ。

 そうだとすると、横田さんは生きている可能性が十分にある。しかも現在29歳の金正恩には、日本人拉致問題に関してはなんら責任がない。拉致問題を「過去の問題」として精算し、日朝国交正常化を金正恩第一書記の手で成し遂げてほしいという思いからだというのだ。

 確かに、藤本が金正恩に手渡した日本文の手紙には、「敬愛する金正恩将軍、お願いです。横田めぐみさんたちを日本に帰国させてあげてください。そうしていただければ、日本との国交正常化や日本から多額の資金を引き出す道も必ず開けると思います」とある。藤本は「正恩王子が、遠からず拉致問題を解決してくれると信じています」と語っている。

 今回の彼の訪朝はTBSテレビでも放映されることが事前にわかっていたから、北朝鮮側がそれを利用しない手はないだろう。政治色のない寿司職人・藤本だし、金正恩とは顔なじみで妻子もいるから、入国させる理由はつく。

 金正恩に見せる手紙は事前に北の了解を取っているのは間違いない。そうだとすると、藤本を通じた金正恩第一書記の日本政府へのメッセージだと考えてもいいのではないか。

 4年ぶりに北朝鮮との政府間協議が8月29日から中国・北京で開催される。このタイミングで出された「朗報」は現実になりうるのかもしれない。そんな期待を抱かせる記事である。もしそうなったら、この記事はテレビと共に世界的なスクープに昇格することは間違いない。
(文=元木昌彦)

motokikinnei.jpg撮影/佃太平

●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

最終更新:2012/08/27 17:12
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