わがままタレントと編集者の仁義なき闘いの行方は!? 「発禁本」で泣いた浅田真央ちゃんの”真意”
#本 #出版 #浅田真央
■さしこ報道”で青ざめた文春の担当者
内容によっては、どこか”上のほう”から圧力がかかり、中止に追い込まれることもある。
男性誌などで「売春島」として知られる三重県志摩市・渡鹿野島における黙認買売春の実態を論じた研究書『近現代日本の買売春』は、04年6月に発売予定だったが、出荷直前に志摩市から抗議を受けて出版中止になった。
社会的に問題となるようなこうした例は別として、個人からのクレームや告訴が予想される暴露本などの場合、そもそも大手出版社では初めから避けられる傾向にあるようだ。
「週刊誌を発行している出版社には、『タレントや政治家と寝た』なんていうネタの持ち込みは多い。でも、よほど重大な人物や事件を扱ったものならまだしも、私怨レベルでは、大した売り上げは見込めません。それでモメて騒動になっても、損するだけ。暴露本は、鹿砦社さんみたいな暴露本系の小さな出版社にお任せしますよ(笑)」(大手出版社編集E)
話題性と瞬発力が要求される週刊誌ならともかく、やはり書籍は長く販売され読まれることにこそ意味がある。なるべくリスクを回避するのは当然のことのようだ。
さらに、一度お蔵入りになった書籍が、別の会社から出るケースも。
幻冬舎から01年6月に発売予定だった中村うさぎの『屁タレどもよ!』は、著名人を辛辣に批判した毒舌本。発売5日前、見城徹・幻冬舎社長の判断により出版中止に。中村によれば「『内田春菊と北川悦吏子を外してくれ』と要請され、『嫌です』と断ったら刊行中止となった」とのこと。同社から単行本を出していた北川への配慮と、同社編集者による内田への”ある行為”を隠蔽するためではないかと報じられた。中村は同年10月にネットで販売を開始、04年には文春文庫より発売された。
08年に発売された、弊誌でもおなじみ町山智浩の『キャプテン・アメリカはなぜ死んだか』は、「週刊現代」(講談社)の連載を中心としたコラム集。町山と講談社の間でトラブルとなり、太田出版から上梓。その後、文春文庫からも発売され、あとがきにそのトラブルの様子が綴られている。
「売れっ子作家は編集者にファンが多いため、トラブルがあっても他社で受け皿を探しやすい。著者と編集者の結びつきが強いからこそなせるワザですね」(中堅出版社編集F)
ちなみに、この中村&町山のワケあり物件を引き取った文藝春秋は、今年8月にAKB48の公式本を出版予定。もしや、「週刊文春」による指原莉乃のスキャンダル報道の手打ちか? などと思われたが……。
「もともと、例の”さしこ記事”とは関係ないところで企画が進んでいたんですよ。同社のAKB本担当編集者は『お蔵入りかも……』と青ざめたそうですが、『週刊文春は、ウチの中でも別会社のようなものですから』と言って乗り切ったらしい。先日の巨人・原辰徳ネタの時も、同社発行のスポーツ誌『Number』の編集者は、巨人関係者にやはり『週刊文春は別会社』と言い張っているとか(笑)」(大手出版社編集G)
文芸系では、こんな話も。
「作家の単行本が文庫化される際、新潮文庫に持っていかれるというのはよくある話。書店の売り場面積も広く、またなんといっても歴史的に”格”の高い新潮文庫を好む作家は多いんですよ。特に中堅の出版社から出た作品だと、どうしてもそういうことが多くなる。例えば、05年に扶桑社から出て200万部を超える大ベストセラーとなったリリー・フランキーの初の長編小説『東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン』なんかも、結局文庫化は新潮でしたからね」(中堅出版社編集H)
書籍は、読まれてこそ意味を持つ。読まれずに消えるお蔵入り本は、出版社にとって経済的なダメージを、制作した著者や編集者にとっては精神的ダメージをもたらす。「絶対に避けたい、避けなければいけない」のが、お蔵入り本の世界なのである。
(文/安楽由紀子)
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