リドリー・スコット監督の集大成! “人類史上最大の謎”に迫るSF超大作『プロメテウス』
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例年にも増して大作、秀作、話題作が続々と封切られた今年の夏休み興行も終盤を迎え、いよいよ大トリにふさわしいSF超大作が登場する。『エイリアン』(79)、『ブレードランナー』(82)というSF映画史に残る2大傑作を手がけた巨匠、リドリー・スコット監督が満を持して放つ『プロメテウス』だ(8月24日公開、2D/3D上映)。
世界各地の古代遺跡で、彼方の星座を指し示す巨人の壁画が見つかった。壁画は「人類の創造主からの招待状」との仮説を立てたエリザベス(ノオミ・ラパス)ら科学者チームは2093年、宇宙船プロメテウス号で未知の惑星に到着。荒涼とした大地にドーム状の巨大建造物を発見した乗組員らは、内部の洞窟のような通路を進んだ末、異様な光景を目にして驚愕する。“人類の起源”を探求するミッションで重要な手がかりを得た彼らだったが、それは想像を超える存在がもたらす恐怖と、絶望的な戦いの始まりだった……。
当初『エイリアン』4部作の前日譚として企画が立ち上がったが、スコット監督が準備段階で方針を変更し、同シリーズの世界観やイメージを取り入れつつ新たな物語として創り上げた本作。シガニー・ウィーバーがリプリー役で確立した“受難に立ち向かうヒロイン”の系譜は、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(10)に始まる3部作のパンクな天才ハッカー役でブレイクしたノオミ・ラパスに引き継がれた。プロメテウス号による探索プロジェクトに出資した巨大企業は、シリーズのファンならご存じの「ウェイランド社」。同社の密命を受けたヒューマノイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)は、『エイリアン』のように乗組員らを苦しめるのか、それとも『エイリアン2』(86)のようにヒロインを助けるのか。
『エイリアン』シリーズのイメージをビジュアル面で決定づけた鬼才、H・R・ギーガーのデザインが本作でも使用され、建造物内の壁画など新たに描かれた部分も。有機体と機械が融合したかのような独特の造形が、スコット監督自身初となる3D映像により圧倒的な迫力で眼前に広がる。旧シリーズの“エイリアンとの戦い”から、“人類はどこから来たのか”へとスケールアップしたテーマは、スタンリー・キューブリック監督の名作『2001年宇宙の旅』(68)にも通じる(同作への目配せを思わせるシーンもちらほら)。予測できない展開とスペクタクルな場面の連続で、予備知識がなくても十分楽しめる映画だが、やはり旧シリーズを復習しておいたほうが細部まで堪能できるだろう。過去の名作SFの記憶をも内包するかのような壮大な世界観に立ち、新たな叙事詩の始まりを予感させる本作は、ぜひ劇場の大スクリーンで“体験”することをオススメしたい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『プロメテウス』作品情報
<http://eiga.com/movie/57474/>
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