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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.185

障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』

saikyonofutari3.jpgドリスに煽られ、フィリップは文通相手の
女性に逢うことに。目一杯おしゃれして、
待ち合わせのカフェへGO!

 バディムービーの面白さは、主人公2人がお互いの異なる価値観を受け入れることで共に視野が広がっていくところ。妻が亡くなってから屋敷に篭りがちだったフィリップはドリスに促されて、新しいガールフレンドに逢うために街へ出掛けるようになる。裏社会で生きていくしかないと思っていた下流階級のドリスも、多趣味なフィリップと知り合うことで意外な才能が備わっていることや真っ当な社会で働くことの面白さに気づかされる。たまたま出会った男2人がタッグを組むことで、世界が2倍にも4倍にもぐんぐんと広がっていく。

 物語の終盤、トラブルを抱えた兄妹たちのためにドリスはスラム街に戻ることになる。最強コンビとなったフィリップとドリスに別れの時がやってきた。だが、ここでバディムービーのもうひとつのよさが活きてくる。バディムービーの主人公2人は、基本的には同性同士という組み合わせだ。男女のコンビだと、どうしても両者間に恋愛感情やセックスの有無といったナイーヴな問題が浮上し、一貫した関係性がキープできない。その点、恋愛感情抜きの同性同士だとその関係性を維持しやすい。離れて暮らすようになっても、フィリップとドリスは固い友情で結ばれていることを確かめ合う。

 ところ変わって2012年8月20日の東京・浜離宮朝日ホール。『最強のふたり』一般試写の前に、ジャズシンガーの綾戸智恵が泉谷しげるとのトークショーを行った。認知症の母親の介護をしている綾戸は2010年に介護の疲れとストレスから精神安定剤を飲み過ぎて病院に運び込まれる騒ぎとなったが、この日はいつもながらの快活なおばちゃんスマイルで会場を和ませていた。そのときの印象に残ったコメントを紹介したい。

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