障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』
#映画 #パンドラ映画館
友情を描いた『最強のふたり』。2人でマリファナ
吸うわ、風俗嬢を呼ぶわのやりたい放題。
映画の人気ジャンルのひとつに“バディムービー”がある。生まれ育った環境、身分、世代が異なる2人がぶつかり合いながらもお互いの価値観を認め合い、唯一無二のバディ(相棒)へと成長していく鉄板スタイルだ。ジャッキー・チェン&クリス・タッカー主演作『ラッシュアワー』(98)など多民族国家である米国のアクションエンターテイメント作品に多く見られる。主人公2人の性格や嗜好性が大きく違えば違うほど、そのギャップがドラマを面白く転がしていく。フランスで記録的大ヒットとなった『最強のふたり』も“介護”というシリアスになりがちな題材を扱いながら、典型的なバディムービーとして観る者を楽しませる。男たちの本音満載コメディであり、スカイアクションあり、格差社会の現実を描いた社会派ドラマでもある。様々な価値観が混在する映画的な豊かさに溢れた作品だ。
舞台は現代のパリ。スラム街出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は、場違いな大豪邸を訪ねる。妻に先立たれた大富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)の介護人の面接試験を受けるためだ。介護経験はないが、採用されなくても失業手当がもらえるので不採用になることを前提で面接を受けにきた。他の受験者たちが「人間が好き」「困っている人の役に立ちたい」ときれいごとを口にしているのに比べ、「失業手当がほしいから、さっさと不採用にしてくれ」と頼むドリスは実に正直者。常識や建前を振りかざすマジメ人間たちより、よっぽど退屈しのぎになりそうだ。これまでの介護人は1週間で逃げ出していた気難しがり屋のフィリップは、興味本位でドリスを住み込みの介護人に採用する。お金持ちだけど車椅子生活を余儀なくされている大富豪フィリップとすこぶる健康だけどお金も未来もないビンボー青年ドリスという異色コンビがここに誕生する。
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