「絶望の中の微かな希望」作者が語る『ウシジマくん』と『ドラえもん』の共通点
#映画 #マンガ #インタビュー
――映画を見ながら「これはマンガじゃできない」と思う部分はありましたか?
真鍋 大島優子さん演じる鈴木未來が、街を駆け抜けるシーンがあるんですが、あの瞬間は映画ならではの疾走感を感じました。マンガでは、あの表現は難しいですね。
――映像では、ウシジマ社長の部下である柄崎と加納という2人のキャラが1人に統合されていたり、ウシジマ社長に“野菜嫌い”の設定が加わっています。こういった映像オリジナルの設定については、どのように考えているのでしょうか?
真鍋 あまり気にならないですね。映像は監督の解釈で成立するものなので、問題はないと思います。僕が細部にこだわるというのは、登場人物がどんなスーパーでどんな物を買っているのか、といった部分。自分の中で、そのキャラクターが“存在している”と思えるように設定を作っているんです。原作とまったく同じように映像化してほしいと思っているわけではないので、別の設定が入っても全然構いません。
――真鍋さんは『闇金ウシジマくん』を描くにあたっては、かなり綿密な取材を重ねているそうですね。
真鍋 編集部から犯罪系のライターさんを紹介してもらい、さらにライターさんからソッチ系の方々を紹介してもらいながら、いろいろな話を聞き出しています。最新刊でテーマにしている生活保護の受給者にも、実際に会って話を聞いてきました。決してリアルだけを目指しているわけではないのですが、そのキャラクターや、彼らの考えていることに近づけたらと思って取材をしています。会って話したほうが、やっぱり情報量が多いんですよ。
――実体験をエピソードとして盛り込むこともあるんですか? 真鍋さん自身も借金地獄に苦しめられていたとか……。
真鍋 マンガ家になる前は借金をしていましたが……。
――えっ、ヤミ金ですか!?
真鍋 いえ(笑)、消費者金融です。マンガ賞に応募する作品を作るためにバイトを辞めて、生活費を借りたんです。賞が獲れなければ借金だけが残る状態だったんですが、無事受賞することができ、その賞金を持ってすぐにATMに行きました。
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