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『商店街はなぜ滅びるのか』著者・新雅史氏インタビュー

酒屋を次々と“コンビニ”に変貌させた「知られざる日本の国策」

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酒屋を次々と“コンビニ”に変貌させた「知られざる日本の国策」 – Business Journal(8月14日)

コンビニ最大手のセブンーイレブン。

 一定以上の年齢の人たちは、街の酒店や米屋が、ある日突然コンビニエンスストアに変わっていく様子をたびたび目にしてきたのではないだろうか。一方で、コンビニが増えることに並行して、活気のなくなっていく商店街の姿も見てきたはずだ。戦後の市民の生活と高度成長を支えてきた商店街は、なぜ、かくも急激にプレゼンスを失っていったのか。

 そんな問いへの応えが用意されているのが、商店街の変遷と日本の社会状況をテーマに書かれた『商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道』(光文社新書)だ。同書を上梓した新雅史氏自身の実家も、かつては酒店を営んでいたという。そんな新氏に「商店街がコンビニに変わっていった状況、そして商店街とショッピングモール」について話を聞いた。

――1980年代あたりから酒店などをはじめとする商店がコンビニへ変わっていった印象があります。そこにはどんな要因があったのでしょうか?

新雅史氏(以下、新) さまざまな要因が考えられますが、ここでは1970年代から80年代にかけて日本の安定のイメージが変化したことを挙げておきたいと思います。

――日本の安定のイメージが変化したとは、具体的にどういうことでしょうか?

 いま、日本の安定イメージは、サラリーマンを中心とした雇用者層に偏っています。しかし、高度成長期が終わる頃までは、そうではありませんでした。高度成長期までは、「雇用の安定」に加えて、「自営業の安定」で社会を支えようとする動きがあったのです。

 近代化の大きな特徴に、多くの人が職を求めて農村部から都市部へ流れることがあります。その激しい流動化を、製造業や建設業などの第二次産業だけで支えることは無理だった。第二次産業での雇用が見つからなかった人たちは、第三次産業の都市部の自営業者となりました。その多くは商業者だったのです。そして、日本政府は都市小売層を安定させようという意図を持っていました。都市の自営業層を安定させなければ、製造業を筆頭とする生産性の高いセクターとの間に格差が生まれてしまうからです。

 こうしたもくろみがあって、さまざまな規制が行われます。例えば、不況時に商工組合に価格や販売方法のカルテルを一定程度認め、大企業に商工組合との交渉を義務付けた中小企業団体法、さらには小売商業特別調整法、商店街振興組合法といった法律などが整備されます。こうして、都市小売層は、ある種の既得権益層となり、安定した層となっていきます。

 しかし、1970年代の後半から80年代にかけて日本の安定を支えているのは、サラリーマンを筆頭とする雇用者層ではないかという声が大きくなり始めます。その一番わかりすい例が、日本型福祉社会論です。

――日本型福祉社会論とは?

 終身雇用・年功序列・企業内福利厚生などが、企業の従業員の人生を包み込む。その従業員は、家族の中では家長となり、専業主婦と子どもを支えている。そうしたサラリーマン男性と専業主婦のセットを前提とした福祉モデルのことです。

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