人見知り芸人の処世術が爆発!? 『日曜×芸人』が生み出す「ポジティブ」の正体
#テレビ #お笑い #オードリー #バカリズム #山崎弘也 #テレビ裏ガイド #てれびのスキマ
バカリズムの場合は、結果的に人見知りのポジションに収まってしまったのではないだろうか。実際に気にし過ぎでやや内向きな性格ではあるが、もともとはみんなでワイワイやるのが好きなタイプであることは本人も語っている。しかし、その飛び抜けた想像力と発想力がそれを邪魔する。コンビを解消してピン芸人となると、「孤高の天才」というイメージが定着。バカリズムはそのイメージを引き受ける形で、自ら内向的で「気難しい」「とっつきにくい」「何を考えているか分からない」人見知りなキャラに収まった。いわば、ポジショニングとしての後天的な人見知りだ。事実、「コメ旬(Vol.4)」(キネマ旬報社)のインタビューで「僕はいまだに誰からも正解の扱い方が提示されてない芸人」だと語っている。
しかし、その突破口となる兆しはある。それが『ウレロ』シリーズ(テレビ東京系)によるバカリズムの「かわいさの発見」である。本人にとって意外だったようだが、『ウレロ』シーズン1では、バカリズムが「かわいい」という視聴者の反響が大きかった。バカリズムはこのイメージも引き受けた。「やっぱ、愛されることはすごい大事だなって思ったんです。あざといと思われようがどうしようが……むしろあざといと思われたうえで、さらにそれでもかわいいと思われてやろうと」(「ピクトアップ」[2012年8月号/ピクトアップ]より)。その「かわいい」イメージは、『日曜×芸人』でも随所に引き継がれている。
『日曜×芸人』で彼らが作り出す「ポジティブ」とは、まさに3人の芸人としての処世術そのものだ。若林がザキヤマにイジられまくるという構図を軸に、バカリズムがそれに追随したり、スカしたり、自らもイジられ役に回ったりしてその都度バランスを保ち、3人の関係性はポジティブな多幸感にあふれている。
しかし、徐々にではあるが、そのバランスが微妙に変わりつつある。若林が本性を時折見せ始めているのだ。いつか若林のお山の大将的な毒と暴力性が、バカリズムの「正解の扱い方」を導き出し、ポジティブという分厚い壁に隠されたザキヤマの素の部分を暴くかもしれない。そんな不意のカタルシスを、ほのかに期待してしまう。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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