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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > “学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.181

“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』

「映画化の企画を聞き、原作小説を読んだのですが、それまでは事件のことを自分は知らなかったし、無関心でした。原作を読み、衝撃を受けました。でも、自分には映画化する自信がなく、一度は『他の監督に頼んでください』と断ったんです。その後、1か月経っても他の監督が決まっていなかった。それで引き受けることにしました。もし、これが被害者も加害者も亡くっているような昔の事件だったら映画にする意味はなかったと思います。テレビ報道され、小説にもなっているのに、まだこの事件のことを知らない人が自分も含めて多かったのです。映画化はこの事件のことを世に知らしめるための最後のチャンスだと思い、決断しました。関係者にはあえて取材はしていません。原作小説はしっかり取材した上で書かれたものですし、彼らに会うことであまりに事実を知りすぎると映画的演出に支障が出ると思ったからです。公開後に被害者の支援者から激励の言葉をもらいました。『自分たちが5~6年働き掛けても何もできなかったのに、映画が公開されて2~3か月で事件が再調査され、法律が改正され、学校の仕組みが改められた。うれしい反面、ホロ苦いものも感じた』と。韓国だけでなく、世界各地で同じような事件が起きていることを知ってください」

 劇映画がきっかけとなり、その国の司法や立法まで動かしたという事実にも驚く。脚色はどこまで許されるのかという問題を伴うが、タブーを恐れない製作者の腹の括り方、キャストたちのリミット越えの熱演、観る者の心情を揺さぶる演出や音楽、それらの要素ががっちりと噛み合った映画は、時として尋常ならざるエネルギーを放つ。お隣・韓国と同じように、日本も密室だらけだ。学校、家庭、職場、政治、原発……。密室の扉を吹き飛ばす、パワーみなぎる映画が日本からも生まれればいいのに思う。
(文=長野辰次)

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『トガニ 幼き瞳の告発』
原作/コン・ジュン 監督/ファン・ドンヒョク 出演/コン・ユ、チョン・ユミ 配給/CJ Entertainment Japan R18+ 8月4日(土)より渋谷シネマライズ、新宿武蔵野館ほか全国公開 <http://dogani.jp>
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