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博報堂OBが語る、巨大広告代理店と電力業界のメディア支配

原発で大儲け、出版社に脅し…電通と博報堂のふしだらなリアル

 私は、06年、博報堂退職後に知人に対する詐欺容疑で逮捕・有罪となり、栃木県の黒羽刑務所に1年間服役。出所後、その体験を紹介した『「懲役」を知っていますか?』(学習研究社)で作家デビュー、その後、文筆活動に入りました。ただし、広告代理店関係の企画を大手出版社に持ち込んでも、編集者レベルでは好感触なのですが、経営レベルでNGになってしまうことがありました。やはり大手出版社では、広告代理店に関する話はタブーになっているということを実感しました。

 今回の本を出す過程でも、本書の発売が明らかになると、博報堂の広報室長より出版元に「出版前に本をチェックさせてほしい」旨の要請がありました。博報堂の広報室長は「本間さんとは退職時に『在職中に知り得た、博報堂の機密を漏洩して会社に損害を与えることはしない』という旨の守秘義務の念書を交わしている。本書で情報漏洩しているということはないか」「電通と東京電力も、この件に関しては情報収集をしている」などといった理由で、発売前のゲラの公開、また電通と東京電力という名前を持ち出してプレッシャーをかけてきたのです。

 私は博報堂の役員ではありませんでしたし、博報堂社員時代から原発に対して懐疑的で「原子力資料情報室」の会員でしたから、原発のPR活動とは一定の距離があり、原発広報の仕事で「博報堂の機密」などがあるかどうかも知る立場にないのに、です。つまり、広告代理店がこういったプレッシャーをかければ、広告収入をビジネスモデルにしている大方の出版社では「発売自粛」になっていたでしょう。広告代理店側は電話一本で、メディアを意のままに操れるというのが現実です。

こうして電通はメディアを操り、国民を洗脳していくということか。

 ただし、私の経験から言えるのは、電通が全社を統合するような1つの意思の下に動いているわけではありませんし、国民を洗脳しようという目的を持って行動しているわけではありません。このあたりの広告代理店マンの考え方は、『大手広告代理店のすごい舞台裏』(アスペクト刊)に書きましたが、ただ単に広告代理店とは、クライアントの意思を忠実に代行するだけの存在なのです。

 つまり、クライアントである政府が仮に「反原発」の政策をとり、そのために広告予算を組むようになったら、電通は、これまでの行動を手のひらを返したように「反原発」のキャンペーンを始めるでしょう。広告代理店はそういった存在にすぎないのです。ですから、やはりいちばん重要なのは、政府の姿勢ということになります。

 東日本大震災の被災地3県のがれき処理問題で、政府はがれきの広域処理を呼び掛けるメディアキャンペーンを展開していますが、これらのために、環境省には12年度、除染関連と合わせて30億円以上の予算が計上されています。地方紙を中心に政府の広告予算がバラまかれ、マスコミは再び自由に政府対応への批判ができなくなっていくのです。また電通主導でのキャンペーンが始まりますね。

原発問題も一段落した現在、電通にとって、最大の関心はオリンピックだ。といっても、現在、開催中のロンドンオリンピックではない。20年のオリンピックの開催予定地だ。2013年9月にIOC総会で決定されるが、トルコ・イスタンブール、スペイン・マドリード、そして東京の3都市が正式立候補している。

 電通にとっては、オリンピックはテレビ放映権収入などが確実に入るおいしいビジネス。ただし、外国開催のロンドンオリンピックでは想定内の収益しか上がりません。もっと莫大なお金が動くのは、オリンピックの自国開催です。たとえば、16年夏季五輪招致活動だけで、67億円のお金が東京都から入ってきましたが、東京開催ともなれば、JOCを中心とした大会の運営の実働スタッフとなるのは電通です。オリンピックをまるごとプロデュースできるわけですから、丸儲けができるイベントなのです。

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