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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 美少女たちが追いつめられる姿にゾクゾク!? リアル系ロボットアニメ『トータル・イクリプス』
週刊アニメ時評 第17回

美少女たちが追いつめられる姿にゾクゾク!? リアル系ロボットアニメ『トータル・イクリプス』

 冒頭で「美少女たちが乱舞する萌えアニメではない」旨の解説をしたものの、二次元キャラたちが表情をゆがめてあらわにする生々しい人間の感情が噴出し始める第2話は、ある意味、非常にセクシャルで、ともすればちょっぴりアブない性癖を喚起してしまいそうなほどの迫力と魅力に満ち溢れている。

 閑話休題だが、ロボットアニメはその誕生の瞬間より「男子の身体拡張願望」を描き続けてきたジャンルだといえる。例を挙げるならば、『マジンガーZ』は「兜甲児がマジンガーZの脳となることで、巨大な力を制御下に置く」という分かりやすい形でそれを示してくれたし、『機動戦士ガンダム』では、「未成熟な少年であるアムロ・レイが父親的存在を乗り越えていくための武装としてガンダムを操る」という、思春期の少年の成長を結びつけて描き出し、『ターンエーガンダム』では立派にそそり立つ男性器を模したコクピットまで登場。そんな「男の子の乗り物」であり、「願望」であり、「象徴」であるスーパーロボットに美少女が乗るという行為は、それだけでエロティックなメタファーを多分に含んでいる、といえる。

 だからこそ、スーパーロボットに乗る美少女たちはそれだけで魅力的だし、僕らはそんな彼女たちが追い詰められていく姿にサディスティックな興奮を覚えるのだろう。この「美少女がロボットに乗り込むこと」に対するアブノーマルな感情と欲求を隠すことなくさらけ出した『トータル・イクリプス』第1話、第2話には全力でスタンディング・オベーションを送りたい。

 ただ、当初本作の監督を務めていた稲垣隆行氏は、この第1話、第2話に全力投球しすぎたため、第3話以降の制作スケジュールを圧迫。第10話より稲垣氏は脚本・シリーズ構成に集中。それまで副監督を務めていた安藤正臣氏が監督を引き継ぐことが発表された(表記は第3話より変更になっている)。このスタッフ交代劇が今後、作品にどのような影響を与えるのかはまだ分からないが、願わくば第1話、第2話で見せたような、思い切りフェティッシュで過剰な演出はそのままに、もうちょっとだけ作画を安定させて、より視聴者の煩悩を刺激する映像を見せてほしい。
(文=龍崎珠樹)

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