アップル元社員語る「過酷な社内政治とクレイジーな要求」
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――具体的には?
松井 アップルにはATG(アドバンス・テクノロジー・グループ)という部署があって、論文を発表するような有名人がたくさん働いていた。しかし、この人たちはいろいろと研究しているのですが、利益を生んではいない。しかも、社長よりも偉そうにしているんです。社員にとってATGは憧れの対象でしたが、そのATGをジョブズはリストラしてしまうんです。この一件が、「お金を生まないヤツはダメだ」という強烈なメッセージとなって、社内にさぁーっと広がった。能書きはいいから、とにかく仕事をしろと。ジョブズ以前は良くも悪くもアップルは民主的だったんです。上からああしろ、こうしろと言われても、それじゃダメだと能書きを言えば意見が通ったりすることもあった。ところが、ジョブズがネクストから連れてきた連中が経営陣に入ると、雰囲気が変わった。
――どのように変わったのですか?
松井 「嫌なら辞めろ」という感じになりました。旧経営陣に拾われて偉くなった人たちは、もう先がないと思い、多くの人が辞めていきました。民主的な雰囲気はなくなって、ジョブズの一言でクビになる。例えば、「ホワイトボードの議事録を消し忘れてクビになった」とか、そういった真偽のつかめない噂が社内に飛び交いました。ジョブズと一緒になりたくないという社員が多かったと思います。
(構成=國貞文隆)
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