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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > “神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.180

“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』

 ブドリの生涯を“欠落感”という言葉で説明したということは、ギサブロー自身もまた心の中に“欠落感”を抱え込んでいるということではないのか。ギサブローにとっての欠落感とは何か。“漫画の神様”手塚治虫を師として仰ぐが、師を超えることはできないという諦観だろうか。初めての劇場公開作『ジャックと豆の木』でスタッフを繋ぎ止めることができなかった苦い思い出だろうか。それとも家族を置いて旅に出てしまったことに対する呵責の念か、自分にとっての安住の地がいまだ見つからないという浮遊感だろうか。

 本作の中では、そのことには具体的には言及されない。ギサブロー本人や石岡監督に尋ねるのはヤボというものだろう。欠落感さえもエネルギーにして作品をつくり続けるギサブロー。彼の作品は、今なお新しく若々しい。
(文=長野辰次)

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『アニメ師・杉井ギサブロー』
製作・監督・撮影・編集/石岡正人 音楽/渡辺崇 登場人物/杉井ギサブロー、大塚康生、手塚治虫、山本暎一、りんたろう、高橋良輔、明田川進、丸山正雄、伊藤叡、原正人、前田庸生、馬郡美保子、田代敦巳、藤田健、桜井宏、古川雅士、藤山房伸、江口摩吏介、李普螺、瀬谷新二、篠崎亨、ブンサダカ、阿部行夫、はしもとなおと 
配給/マコトヤ 7月28日(土)より銀座シネパトス、京都みなみ会館ほか全国順次公開 <http://www.animeshi-movie.com>
(c)2012「アニメ師・杉井ギサブロー」製作委員会(ゴールドビュー/京都精華大学/手塚プロダクション)

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