「このアルバムは『はだしのゲン』の第1巻のようなもの」ソウルセット・渡辺俊美が歌う“県内の人”の歌
#音楽 #インタビュー
――再び福島に帰りたいという思いはありますか?
渡辺 実は2年くらい前から、子どもと一緒に福島に移住しようと思っていたんです。親父が川内村で百姓をやっていたので、僕も農業のことを独学で勉強していました。以前から東京でレベル・ミュージックを歌うということに疑問を感じていたんですね。だから、地元に根ざして音楽活動をしようと思っていたんです。
――そんな夢も、震災によって奪われてしまった。
渡辺 今作に収録した「安らぎの場所」で歌っているのは、そんな場所のことです。現実的には難しいかもしれませんが、まだあきらめたわけではありません。それが福島になるのか、それともどこか別の場所になるのかはわかりませんが、希望は持ち続けていたいと思っています。
――いま福島について、どんな思いを持っていますか?
渡辺 「FUKUSHIMA」と書かれることを地元の人はあまりよく思わないのですが、新しい日本のモチーフとなる場所であることは間違いないでしょうね。原発の問題はずっと続いていく問題だと思っています。僕は、このアルバムは『はだしのゲン』の第1巻のようなものだと思っているんです。この先も、2巻、3巻と、死ぬまで終わることなく制作を続けていくでしょうね。
(取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]/撮影=後藤秀二)
●わたなべ・としみ
1966年12月6日生まれ、福島県出身。1990年に結成したTOKYO No.1 SOUL SETのシンガー、ギターとしてデビュー。2000年以降TOKYO No.1 SOUL SETとしての活動は休止となり、ソロユニットTHE ZOOT16を始動させるほか、2010年には福島県出身の松田晋二(THE BACK HORN)、山口隆(サンボマスター)、箭内道彦(風とロック)と猪苗代湖ズを結成。「I love you & I need you ふくしま」で紅白歌合戦出場を果たす。
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