京セラのJAL増資はインサイダーだった?
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ただし、JALの場合は経営破綻した際の資産の洗い直しで膨大な評価損が発生した。この多額の繰越欠損金で利益を帳消しにできるわけでメリットは大きい。
JALは、燃費効率が従来機より20%良い次世代中型機のボーイング787を45機購入する。この購入額が、9年間の法人税の免除額にほぼ匹敵することが判明している。こうした国の過剰な支援によって「競争環境がゆがめられている」と、ANAの伊東信一郎社長は不満を口にしたのである。
JALの再建策は民主党の前原誠司国土交通相(当時)が政治主導で決めたものだ。野党の自民党からすれば格好の攻撃材料だ。自民党の国土交通部会は7月13日、日航が2011年3月に実施した第三者割当増資についても「透明性に欠ける」と批判した。
同部会に招かれたJALの絶対の大株主である企業再生支援機構が、「(会社更生法の)更生手続きが近く終わる予定であることが、(増資の)引受先に伝わっていた」と述べたことから、批判の火が広がった。再上場が間近で株価の値上がりが確実な第三者割当増資だったことが明らかになったからだ。
11年3月15日の第三者割当増資では127億円を調達した。支援機構は「どこが出資したかは守秘義務で言えない」と公表を拒んだ。だが、公表を拒んだってダメである。
第三者割当増資は、JALの稲盛和夫・名誉会長(11年3月時点では会長)の出身母体である京セラが50億円、大和証券グループ本社が50億1000万円を出資したほか、大手旅行会社のJTBと阪急交通社、損害保険会社の三井住友海上火災保険や損害保険ジャパン、あいおいニッセイ同和損害保険、東京海上日動火災保険の合計8社が引き受けた。
第三者割当増資が完了した直後の3月28日、JALは更生手続きを終えている。
出席した自民党議員からは「インサイダー取引だ」との指摘が出たが、金融庁の担当者は「JALは非上場企業なのでインサイダー規制は適用されない」との認識を示した。その当時は、確かに非上場企業とはいえ、再上場のスケジュールがほぼ明らかになっている企業の株式を、単なる非上場企業と一緒にしていいものなのか。
確か11年3月、「ほかに大口の引き受け手がなかったから」と、京セラが50億円を出資した理由について説明されたと記憶しているが、JALの再建を主導してきた稲盛氏がオーナーの京セラが、第三者割当増資を引き受けたことの是非が問われることになる。
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