京セラのJAL増資はインサイダーだった?
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京セラのJAL増資はインサイダーだった? – Business Journal(7月17日)
「鶴(JAL)に恩返しさせろ」――。日本航空(JAL)の再建問題を議論している自民党国土交通部会の「航空問題プロジェクトチーム」(PT)の会合で、出席議員の1人は、JALのロゴマークの鶴丸と夕鶴の民話を掛けて、こう皮肉った。
PTは7月13日、JALの再上場に反対する決議をした。公的支援に加え、巨額の税金の免除を受けた日航が、国際線で新規路線を開設したり、格安航空会社(LCC)への出資で事業を拡大する一方、公共性の高い地方路線から撤退するなど、利益を社会に還元していないことを、反対の理由にしている。
PTは、「国際線などの新路線を開くことに何年か歯止めをかけるルールを作ること」や「縮小した地方路線の復活を進めること」を再上場を容認する条件にするよう、政府に要求した。
国の支援で業績を回復した以上、撤退した地方路線を復活して「鶴(JAL)は恩返ししろ」という理屈である。自民党航空族がゴリ押しした“政治路線”が、日航の赤字を招いた一因だったことを忘れたかのような乱暴な意見だが、その言い分には一理ある。
業績のV字回復は、銀行団の債権放棄による5215億円の借金棒引きや、官民ファンドの企業再生支援機構などから、7000億円を超える公的資金を受けたことが大きい。
政府の支援で再生した日航が再上場を急ぐのも、政府主導ならではのこと。JALは、現在、国が支援機構を通じて発行済み株式総数の96.5%を保有する筆頭株主。支援機構は来年1月中旬までに全株式を売却するよう義務付けられている。政府は是が非でも日航を上場させ、3500億円の出資金を回収しなければならない事情がこれだ。再上場をテコに株式を高値で売却することで、出資金(=公的資金)にプラスαをつけて返済することが「鶴の恩返し」なのである。
ライバルの全日本空輸(ANA)は「このままでは公正な競争ができなくなる」とかみついた。ANAが問題にしているのは、JALが巨額の利益を上げながら、法人税を免除されるという恩恵を受けていることだ。「日航は2012年3月期の法人税は約680億円軽減された」(毎日新聞7月4日付朝刊)。法人税の免除は昨年度から始まり、延べ9年間で4300億円を超えると試算されている。
法人税の減免は、企業が過去の赤字と今の利益を相殺できる一般的な税のルールだ。「ANAも2009年3月期が赤字になった影響で、2012年3月期は単体で約350億円の法人税が免除された」(同)。
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