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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『ドリランド』は今期の穴馬!?
週刊アニメ時評 第16回

夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線

 だからといって、『探検ドリランド』がダメアニメなのかというと、それが意外と面白いのだから困りものである。王道の子ども向けアニメのノリ全開の主題歌が流れる中、子ども受けしそうなディフォルメされたキャラクターが大立ち回りを演じるOP映像は、大人はもちろん、子どもが見てもワクワクすることだろう。外の世界への大冒険を夢見る主人公・ミコト姫が、世話係の美形男子・ウォーレンスの忠告を無視して洞窟を探検。モンスターに襲われ大ピンチのところを、実は優秀な剣士だったウォーレンスに助けられる……という、ベタながら魅力的なキャラクターのアクションや掛け合いには、目新しさはないものの普遍的な「テレビまんが」的な娯楽性に満ちている。一方、世界に忍び寄る怪しげな存在、それに気づいたのは歴戦のハンター・ポニーのみ……。この第1話ラストの引きも、いかにも少年漫画らしくて次回への期待感を煽る。

 といったように、今も昔も子どもたちに人気のアニメを多数生み出している「東映アニメーション」の制作だけあって、非常に安定した仕上がりの作品となっているのだ。言うなれば、日曜朝9時枠で放送されていてもおかしくない内容なのだが、なぜか放送される時間は23時30分~。よい子はみんな夢の中の時間帯である。ソーシャルゲーム『探検ドリランド』に課金しまくっている「いい大人」をターゲットとして作ったのだろうか。それとも、まだソーシャルゲームに触れていない子どもに向けて作ったのだろうか。そんな「一体誰に見せたいのだろうか?」というチグハグ感でいっぱいな仕上がりとなっているのがアニメ版『探検ドリランド』なのだ。深夜に放送される子ども向けアニメという大いなる矛盾をはらんだ本作を、ビール片手にニヤニヤしながら眺めるのもまた味わい深し、といったところか。

 百聞は一見に如かず。あらゆるアニメを楽しみ尽くしたエリートアニメファンの諸兄は、ぜひとも『探検ドリランド』を見て、ほかのアニメファンに差をつけよう!
(文=龍崎珠樹)

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