豪華声優陣&スタッフが集結! 宮沢賢治の傑作童話を映画化『グスコーブドリの伝記』
#映画
今週は、困難な状況に決死の覚悟で立ち向かう主人公が魅力的な新作映画2本を紹介しよう(いずれも7月7日公開)。
『崖っぷちの男』は、『アバター』(2009)のサム・ワーシントンを主演に迎え、絶体絶命の状況から起死回生の大勝負に賭ける男を描く異色のアクションサスペンス。ニューヨークの名門ホテルにチェックインした男(ワーシントン)が、意を決して21階の部屋の窓を越え、外壁のわずか35センチ幅の縁に立つ。今にも飛び降りそうな男に気づいた路上の通行人たちが騒然とする中、通報を受けた警察の交渉人(エリザベス・バンクス)らが説得を始める。やがて男の身元が判明。30億円のダイヤモンドを盗んだ罪で収監され、父親の葬儀に列席した際に脱走した元警官のニックだった。無実の罪を晴らすため、ニックは命懸けの計画を実行に移す。
壁面の縁に立つシーンの大部分で、実在するルーズベルト・ホテルの地上60メートルの外壁で演技したというワーシントン。目もくらむロケーションと、真に迫る恐怖の表情に、観客の緊張感も一層高まる。ニックの回想、交渉人とのやり取り、濡れ衣を着せた一味の動向、そしてニックに協力する弟とその恋人の“ミッション”がテンポ良く切り替わり、怒濤のクライマックスへとなだれ込む。監督はドキュメンタリー出身で本作が劇場用長編映画デビューとなるアスガー・レス。ご都合主義的な展開も若干あるが、巧みな演出により最後までスリルたっぷりに楽しませてくれる快作だ。
もう1本の『グスコーブドリの伝記』は、岩手出身の国民的作家・宮沢賢治が晩年に発表した傑作童話を、『銀河鉄道の夜』(85)も手がけた杉井ギサブロー監督がアニメ映画化。イーハトーブの森で両親と妹と幸せに暮らしていたブドリは、冷害のため家族を失ってしまう。青年になり火山局に勤めることになるが、森は再び大きな冷害に直面。故郷と大切な人たちを守るため、ブドリはある大きな決断をする。
『銀河鉄道の夜』に続き、ますむら・ひろしがキャラクター原案を担当し、擬人化した猫で登場人物を表現。制作には手塚プロダクションが参加した。声の出演も小栗旬、忽那汐里、草刈民代、柄本明、佐々木蔵之介と豪華。震災復興の願いが込められた本作は、東北を思う多くの人々に勇気と感動を与えてくれることだろう。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『崖っぷちの男』作品情報
<http://eiga.com/movie/57259/>
『グスコーブドリの伝記』作品情報
<http://eiga.com/movie/57598/>
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