「プロレスから場外乱闘が消える!?」観客の訴訟リスクを抱え込んだプロレス界に垂れ込める暗雲
#格闘技 #プロレス
2009年に創業者でエースだった三沢光晴さんが試合中の事故で亡くなったプロレス団体「プロレスリング・ノア」だが、同団体を観戦中にリングから飛び出してきた選手と接触して鼻を折るなどのけがをしたとして、東京都に住む女性から慰謝料など1,000万円の賠償を求める訴訟を起こされていたことを毎日新聞が報じた。
同紙によると、女性は05年4月、都内でノアが主催の試合を観戦中、選手がフェンスを乗り越えたところ、女性の顔に選手の足が直撃して全治2カ月のけがを負い、言語障害も残ったことから、女性側は「団体は、選手が所定の場所以外で跳び技を出すことを禁じるなどの安全配慮の義務を怠った」などと主張。それに対して2日、東京地裁で行われた第1回口頭弁論でノア側は争う姿勢を示したという。
「プロレスの魅力のひとつといえば、場外乱闘。昔は凶暴な外国人選手が観客席で縦横無尽に暴れ回り、観客が逃げまどうシーンがプロレス会場の名物だった。大仁田厚が立ち上げた団体・FMWが一大ブームを巻き起こしたのも、リング上の戦いよりも場外乱闘を派手にやり合うことにより、観客を巻き込んでの一体感を演出できたため。昔は、後楽園ホールの高さ6メートルのバルコニーからダイブする命知らずのレスラーもいた」(プロレスライター)
この訴訟で女性側が主張する「選手が所定の場所以外で跳び技を出すことを禁じる」ことが認められてしまえば、主な主戦場はリング上に限定されるため、死活問題になる選手もいるという。
「空中殺法が得意な選手の見せ場のひとつが、場外へのダイブ。それすらできなくなり、リングの中だけでの戦いとなると、総合格闘技と大きく差別化することができなくなってしまい、出せる技の数も制限されてしまう」(同)
それでなくとも、ただでさえここ数年、プロレス雑誌など関連書籍の休刊・廃刊や部数減が止まらず、観客動員が落ち込んでいるところに三沢さんの事故死なども重なり、「プロレス冬の時代」とも呼ばれる業界の低迷期を迎えているが、このままだと、今回のような訴訟が次々に起こされるリスクが高いという。
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