潜入!関電株主総会、副社長トンデモ発言「原発寿命60年」
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潜入!関電株主総会、副社長トンデモ発言「原発寿命60年」 – Business Journal(6月28日)
関西電力(関電)大飯原発再稼動への批判が全国レベルで渦巻く中、昨日6月27日、注目の同社株主総会が、梅田芸術劇場で開催された。
会場周辺には原発再稼働に批判的な人たちが多数集まり、会場内に入る株主たちに向けて「株主がんばれ!」とのシュプレヒコールが湧き上がっていた。すでに10時開会の45分前には、関電役員たちが壇上に居並ぶメイン会場は、1905席が満席。メイン会場の様子がスクリーンに映し出される第2会場も、7割の席が埋まっていた。
ちなみに、採決のときの挙手を見渡した限り、前から10列目くらいまでは、関電側に好意的な株主で埋め尽くされていた。もちろん、関電がそのように謀ったのかどうかは定かではないが……。
総会は定刻に始まり、議長は森詳介会長が務め、ビデオ上映による事業報告の後、八木誠社長から「対処すべき課題」について説明が行われた。収支が赤字、電力需給が相変わらず厳しい、安全性が最優先……、型どおりの説明が続く。
続いて質疑に入り、まず、事前に書面で寄せられた質問について、担当役員が答えた。概要は、
原発推進みえみえの関電幹部
「電気料金の値上げは現時点で考えていないものの、経営状況次第ではあらゆる選択肢も探っていく」
「収支改善のために、当面は原発再稼動を目指す」
「再生可能エネルギーについては、さらなる導入も考えているものの、コストなども総合的に勘案する」
と、原発廃止に後ろ向きの姿勢がありありだった。
大飯原発再稼動の理由について、豊松秀己副社長が「炉心損傷に至らないと確認した」と話すや、会場から野次が巻き起こり、「やめて~」という女性株主の悲痛な声も。また、国は原発の「40年廃炉ルール」を検討中だが、「60年運転も可能」という驚きの見解も飛び出した。原発の燃料リサイクル処理施設・もんじゅについても、「使用済み核燃料の再処理によって、将来的なウラン獲得競争から解放されるため、もんじゅにも期待する」と語り、同社の原発推進路線が鮮明になった。
続いて、会場からの質問に移り、矢田立郎神戸市長の次に質問した橋下徹大阪市長は、次のように語った。
「関西電力はこのままでは潰れてしまうのではいかと危惧している。衰退産業が歩んだ道を関西電力は歩んでいる。成長産業の経営陣は、経営上の将来リスクをはっきりと株主に説明しているが、関電は説明が不十分だ。使用済み核燃料は原発の根源的な問題だ」
「(使用済み核燃料の)再処理事業は今後も継続するのか? 中間処理施設は増設するのか? 最終処分地はいつまでにつくるのか?」
「家庭用電力は2年後に自由化されるのか? 発送電分離は実施されるのか? 40年廃炉のルールは確立されるのか?」
質問の途中、議長が「3分を超えていますので手短に」と結論を急ぐと、ものすごい野次と大きな拍手が入り乱れ、騒然となった。
「言えない」「検討中」のオンパレード
これらの橋下市長の質問に対し、岩根茂樹常務取締役は、
「家庭向けの自由化は前向きに検討するが、さまざまな公益性も検討しなければいけない。発送電分離は国で検討している」
「2030年のエネルギー比率については、今は言えない」
などと語り、橋下市長の質問にはゼロ回答だった。
この後も10人以上質疑が続き、議長解任動議も出されたが、あっさり否決。強引に議事を進めようとする森議長に対して、なおも動議を出した株主は食い下がり、係員から退席させられそうになる一幕も。
質疑は打ち切られ、株主提出議案の審議へと移ると、株主からは次のように経営陣を批判する声が相次いだ。
「4~5000万円もの報酬がもらえる関電の取締役は、”取締役満足度№1″企業だ。こんな経営陣を持った会社の株主であることを恥じている」(5号議案提出株主)
「オール電化の推進は、放火しておいて消防車を走らせるようなもので、マッチポンプだ」(8号議案提出株主)
「福島原発の事故原因が究明されていないのに、どうして安全だと言い切れるのか? 経営陣は原発詐欺だ。詐欺師に経営は任せられない」(13号議案提出株主)
こうした声は会場に訪れた多くの株主たちの心に届くことはなく、28個の株主議案は次々と否決されていった。
ちなみに、橋下市長はメイン会場2階席の左端に座っていたのだが、そのせいで「動議」の声が議長に届いていなかったようである。
(文=横山渉/ジャーナリスト)
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