これが<聖地巡礼>の神髄──『究極超人あ~る』のクライマックス再現イベント
#究極超人あ~る
いまや全国各地で盛んに行われている、漫画やアニメ作品の舞台となった土地を訪問する「聖地巡礼」。訪れるファンの心を掴み、町おこしのきっかけにしようと、あちこちの市町村が作品にあやかった企画を展開している。祭りから婚活イベントまで、その内容は多種多様だ。そんな中、「聖地巡礼」の元祖といわれる土地で、作品のテイストを理解しまくったイベントが開催される。
7月28日(土)に開催予定の「田切駅→伊那市駅 1hour Bicycle Tour“轟天号を追いかけて”」だ。伊那市駅開業100周年記念行事の一環として行われるこのイベントは、飯田線の田切駅、伊那市駅をはじめ沿線が舞台となり、ファンが押し寄せる「聖地巡礼」の元祖となったアニメ『究極超人あ~る』(1991年OVAリリース)のクライマックスシーンを再現するというもの。
このイベントを主催するのは、Cycle 倶楽部R(伊那市役所自転車部)と伊那市の暮らし100年地域活性化推進委員会だ。伊那市駅開業100周年を記念すると共に、「聖地巡礼」の元祖でもある当地の町おこしを兼ねている。
ところが、このイベント、ほかの「聖地巡礼」イベントでは見たことのない強烈な個性を放っているのだ。
開催要項によれば、早くも92年夏に伊那市役所の自転車愛好者たちは、田切駅から伊那市駅を1時間で走れるのか実験を行ったという。その結果を開催要項では、次のように記す。
「参加車は36分から1時間10数分のうちに全員が完走。1台1人乗車であれば(普通に走れば)充分『田切駅→伊那市駅1時間』は走りきれることが証明されたのである(ちなみに1時間以上かかったヤツは普通に走っていない)」
田切駅から伊那市駅までは17.5キロ。36分なんて、よほど自転車に乗り慣れた強靱な肉体の持ち主でなければ不可能なんじゃなかろうか。さらに、開催要項の「開催主旨」の項目では「これを期に関係者・参加者全員が正気に戻ることを祈念します」と書いているし、開催日程の項目でもスタート後は「好きな角を曲がってください」と、元ネタを知らないと、まったくわからないギャグを挿入しているのだ。
さらに、「ゴールゲートやゴールラインはありません。が“西園寺ツーリスト”の辺りが、ゴールっちゃあゴールです。……そういえばスタートラインもないです」と投げっぱなし。おまけに、ゴールした後は「伊那市駅100周年ばんざーい! をして解散」とのこと。まるで、脳天気で出たこと勝負な『究極超人あ~る』の登場人物たちが作成したかのような開催要項である。
イベントを主催するCycle 倶楽部Rの一員である伊那市創造館の捧剛太館長は、「伊那市駅開業100周年記念でさまざまな行事が行われる中で、この資産を生かさない手はないと思ったんです」と話す。いまだに飯田線を旅する人々が『究極超人あ~る』のことを思い浮かべ、挿入歌「飯田線のバラード」を聞きながら列車に揺られているのは、よく見られる風景。さまざまな作品の舞台となる伊那市だが、これほど熱い作品はほかにない。
とはいえ、17.5キロを1時間以内に走破するのは、かなり苦しいような気がするのだが……。
「普通に走ると、ちょっとキツイかも知れません。ママチャリだと無理でしょうね」(捧館長)
とのこと。とはいえ、基本的なルートは国道沿いなので、それなりの自転車ならば無理のない距離らしい。それに、原作では自転車に10人乗りで走り抜いた(うち7人は途中で、振り落とされる展開)のだから、1台の自転車で1人なら、かなり楽勝なのではなかろうか。
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