アダルト業界が‟呉越同舟” 知的財産保護という困難な航路に光明は?
「違法ダウンロードの罰則化に向け、激しいロビー活動を繰り広げていたのは音楽業界。アダルト業界の多くの人は冷ややかな目で見ていたと思いますよ。そもそも、アダルト業界は長年ずっと、規制される側でしたからね。そんな目に遭ったことのない音楽業界とは、根本的に考え方が違う。『どうせアダルトでは動いてくれない』といった捜査機関に対する不信感も大きいんです」(制作会社)
ただ一方で、この懇親会を契機に、業界は変わっていくと期待を寄せる声も少なくはない。
でもなかったが、具体的な提案として紹介
されたのがこのような啓蒙活動。その効果
云々よりも、まずは共通の旗印を掲げまとま
ろうという業界の思いが伝わって来る。
「確かに足並みを揃えるのは難しいかもしれません。それでもとにかく、相まみえることのなかった各団体・メーカーが、一堂に会したことにこそ意義があるんだと思います。何ができるかはわからない。だけど、何かやらなきゃいけないという思いは、どの団体だろうと、どのメーカーだろうと同じです」(販売業者)
「せっかく汗水垂らして作った作品が、いとも簡単にコピー販売され、違法にアップロードされるのは悔しい。業界としては今後、アダルトだけでなく一般の動画・コンテンツに関わる企業・団体とも連携を取っていく予定です。違法行為に手を染めている人たちには、こうした会が開かれているということ、業界としてより一層厳しく対処していく決意を強めているということを、ぜひ知ってもらいたいですね」(メーカー)
違法コピーにより、年間数百億円の損失を被っていると目されているアダルト業界。知的財産の保護という水平線に乗り出す立派な“舟”は準備ができた。確実に最初のひと漕ぎは放たれた。あとは呉越がリズムよく舵を切り、櫂(かい)を操作できるかどうかがポイントだろう。
この航路にはきっと困難も待ち受けているはず。しかし「とにかく始めよう」「まとまろう」という今回の決意表明は、航路を明るく照らし出している。
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