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石田東尾ダウン症告白に見る、高齢出産賛美の裏で中絶激増

 サイゾー新ニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けしちゃいます!

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石田東尾ダウン症告白に見る、高齢出産賛美の裏で中絶激増 – Business Journal(6月21日)

post_289_20120620.jpgもちろん不倫は文化ではない。
(「石田純一公式サイト」より)

 タレント・石田純一(58)の妻、東尾理子(36)が、血液検査の結果、おなかの子にダウン症の可能性があることを明かしたブログには、賛否両論、大きな反響があった。

 元マラソンランナーで熊本市議の松野明美(44)は、自身の次男がダウン症であることから複雑な胸中をにじませたものの、東尾のブログに寄せられた約5000件のコメントは、概ね好意的な内容だった。

 しかし、医療界からは落胆と呆れ声が聞こえてくる。高齢出産のリスクを、まったくといっていいほど無視しているからだ。

 現在40代のある女性神経内科医は、35歳で第三子を授かった。東尾より1つ下の年齢だが、周りの医師仲間は一様に「どうするの?」と心配顔だったという。ダウン症の発症確率は年間平均で約1/1000だが、母親の年齢との相関関係が強い。母親が

 ・20歳:1/1667
 ・30歳:1/952
 ・35歳:1/378
 ・40歳:1/106

とリスクが上がり、内科医は「35歳はひとつのボーダーライン。医師であれば、当然、産むことを躊躇する年齢です」と話す。

10年で高齢出産は倍増

 厚生労働省の人口動態統計によると、この10年で35歳以上の高齢出産はほぼ倍増している。2000年時点で35〜39歳の出産者数は約12万6000人だったが、2010年は22万人、40〜44歳は約1万5000人から3万5000人、45〜49歳も、約400人から約800人に増えている。

 ある私立大産婦人科の主任教授は「高齢出産が増えてからは、医療事故も増えて現場は悲惨だよ。マスメディアの報道も少し考えてほしい」とこぼす。

 大きく報道で取り扱われるタレントの例を見ると、神田うのの36歳、戸田菜穂の38歳は序の口で、田中美佐子の43歳、兵藤ゆきの46歳など、高齢出産は花盛りである。

 しかし、マスメディアはリスクを伝えない傾向がある。彼女らの幸せそうな笑顔に感化されてか、婚活中の女性の中には高齢出産が”当たり前”という認識すら広がっている。38歳で婚活中のあるOLは「ジャガー横田は45歳で産んだじゃん。私もまだ大丈夫」と無邪気な様子だ。

 そんな能天気な高齢出産ブームとは裏腹に、日本産婦人科医会からは驚くべきデータが発表されている。胎児異常が理由とみられる中絶数が、10年前と比べて倍増しているというのだ。しかも、ダウン症に限ってみれば3倍近くにもなっている。

 このデータは、横浜市大先天異常モニタリングセンター(センター長=平原史樹・同大教授)が日本産婦人科医会所属の約330施設を対象に調査したもの。無脳症(脳と頭蓋骨の大半が欠けた状態)や水頭症(髄液がたまり脳室が大きくなる病気)、ダウン症といった胎児異常が理由とされる中絶の総数は、85~89年で約5400件だったが、00〜09年には約1万1800件に増加している。ダウン症は最も増加率が高く、370件から1100件に増えていた。

安易な出生前検診の弊害

 日本産婦人科医会は、高齢出産の増加と簡易な出生前診断が原因と見ている。出生前診断とは、妊娠中に胎児の異常がないかを調べる検査の総称で、腹部に超音波を当てて子宮内を映し出す「エコー検査」や、妊婦の血液を調べる「母体血清マーカー検査」、腹部に針を刺して羊水を採取する「羊水検査」、胎盤の組織を採取する「絨毛検査」などがある。

 東尾が受けたクアトロテストは、「母体血清マーカー検査」に当たる。妊婦の採血だけで済む安全な検査だが、ダウン症などの障害がある”可能性”しかわからない。確定診断のためには羊水検査をしなければならないが、こちらは約0.5%の確率で流産のリスクがある。東尾が羊水検査を受けないと決めたのは、流産を避けるためであろう。

 前出の女性医師は、「本来、出生前診断は抑制的に行われるものです。ややもすると”障害児は生まれなくていい”とする優生思想につながりますから」と語気を強める。彼女自身は夫婦で相談して診断を受けない選択をした。結果的に生まれた子は健康だったが、診断を受ける場合は専門家によるカウンセリングと、十分なインフォームドコンセント(説明と同意)が欠かせないという。

エコー検査も出生前診断

 ところが、実際には野放し状態で出生前診断が行われているのが現状だ。エコー検査の精度が上がり、ダウン症の可能性を示す胎児のNT(首の後ろのむくみ)が、中絶可能な妊娠初期にわかるようになったからである。エコー検査は70年代から妊婦健診の定番として行われ、産婦人科の現場では半ばルーチン化している。医師の側もエコー検査が出生前診断になるという認識が薄く、日本周産期・新生児医学会の昨年の調査では、半数の産婦人科医が妊婦の同意なく検査をしていた。心の準備ができていないまま検査を受けた妊婦が、いきなり医師から「ダウン症の可能性があります」と伝えられ、途方に暮れた結果、安易に中絶を選ぶ悲劇が発生している。

 慌てた日本産科婦人科学会は、昨年、”エコー検査も出生前診断になり得る”とする指針を打ち出したが、現場の医師にどこまで普及しているかは疑問が残る。

 35歳以上の妊娠は、ダウン症のほかにもさまざまな染色体異常や、流産、妊娠中毒症などのリスクが高い。メデタイ話に水を差すようだが、覚悟が伴わない高齢妊娠の陰で、どれだけ多くの命が闇に葬られているか。安易な高齢出産賛美の風潮には、自戒を求めたい。
(文=編集部)

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最終更新:2012/06/22 13:53
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