「自殺者が3万人いる理由? 僕と会ってないから!」“新政府総理”坂口恭平が本気でやろうとしていること
#インタビュー
さまざまな顔を持つ坂口恭平氏。最近では車輪が付いた
「モバイルハウス」という家を建設し、話題に。
そして現在は、新政府の初代内閣総理大臣でもある。
坂口恭平は暴論を言っているようで正論を言っているのだろうと思う。彼の新著『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書)を読むと、何度となく目から鱗が落ちる感覚を覚えるのはそのためだろう。新政府樹立。「自殺者ゼロ」という目標。ものすごく荒唐無稽な話のように思えるが、あながち「ドン・キホーテ」という感じでもないのである。彼が繰り返し言う「レイヤー」や「空間の拡張」という言葉には、今のどん詰まった日本を生き抜くための重要なヒントが詰まっている。
──坂口さんが故郷である熊本に移住し、新政府を設立するきっかけとなったのが3.11とその後の原発事故ですけど、今でも当時の恐怖感は残っていますか?
坂口恭平氏(以下、坂口) うーん、娘や嫁がいなかったら、怖くないんだってことがわかりました。嫁と娘がどうなるかは怖いけど、僕は別にどうでもいいかな、って。でも、3月11日、12日、13日ぐらいの時は僕、足が震えたんですよ。で、震えながら知り合いに電話したら、みんな「仕事だよ」って言うんです。「震えてないの?」「いや、震えてるよ」「逃げらんないの?」「逃げらんない。仕事あるし上司もいるし」って。「じゃあその上司、お前が困って所持金0円になったら50万円くれる奴?」って聞くと、「いや、絶対くれない」って。それヤバくない? って思うんですよ。その人たちは恐怖心によって動けないわけですよ。不安感を動機にして働いているわけ。「なんでその会社辞めないの?」って聞くと、「食ってかなきゃヤバイっしょ」みたいなこと言う。「辞めてもやっていけるなら、ほかの仕事やってるよ。僕Excel苦手だし」って。「なんでExcel苦手な奴がExcelやってんだよ!」って、わけわかんないことになってる。なんのためにそんな競争社会的なものに入ったの? って。そういうの、不思議じゃないすか?
──うん、不思議ですね。
坂口 ヤバイでしょ? そのことに怖さを感じない人だったら、全然いいんですけど。
──「怖さを感じてるのに抜け出せない」というのが本当のところなんでしょうけど。
坂口 身体の消費量を考えると「自分の体ならどうなってもいい」って感覚は、DNA的には絶対に罪なんですよ。やっぱり、果ててしまう前にちゃんと次にバトンタッチしないと。駅伝の途中で勝手に座ったり、首つり自殺したりすることってないでしょ?
──もちろん。で、その新政府ですが、大きなテーマとして掲げているのが「自殺者を限りなくゼロに近づけること」なんですよね。
坂口 それが唯一のテーマですから。
──今、毎年3万人を超える自殺者がいるわけですけど、なんでこんなに自殺者が出てくるんだと思います?
坂口 僕と会ってないから、っていう結論(きっぱり)。
──すごい答えですね。
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