“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』
#映画 #パンドラ映画館
組織に追い詰められる。一体、どちらが正義
なのか。
今年で“芸能生活30周年”を迎えたニコラス・ケイジ。私生活では古城マニアであることに加え、スーパーカーやレアコミックの収集による散財が祟って、借金まみれ状態。そのため、ここ数年は作品を選ばぬ多作ぶりだ。やはり被災後のニューオリンズを舞台にした『バッド・ルーテナント』(09)や趣味と実益を兼ねた『キック・アス』(10)『ドライブ・アングリー3D』(11)は見応えのある好編だったが、古典アニメの実写化『魔法使いの弟子』(10)や伝奇ファンタジー『デビルクエスト』(11)といったビミョーな作品にまで主演。シネコンに行くと、いつもニコラス・ケイジの哀愁をたたえた中年顔が待っている。もはや“ハリウッドの船越英一郎”状態だ。ニコラス・ケイジひとりによって、ハリウッド大作が“プログラム・ピクチャー”化している感がある。とはいえ、ある一定レベル以上の娯楽作品に押し上げてみせているところは、さすがハリウッドのトップスター。本作では秘密組織の追っ手を振り切るシーンにおいて、立体高速道路でのパルクールを交えたスタントに挑んだ。金遣いはルーズだが、自分が二枚目スターではないことはしっかり自覚している。
借金まみれのニコラス・ケイジにぴったりな、もう一本の主演作が『ブレイクアウト』(6月23日公開)。美人妻(ニコール・キッドマン)と生意気ざかりな愛娘との3人で優雅な豪邸暮らしを満喫していたところ、その派手さに目をつけた覆面強盗団の襲撃に遭う。こちらの作品も、不意に降り掛かってきた暴力に対し、どうやって自分と自分の家族を守るかがテーマだ。果たして家族の絆パワーで、セキュリティー設備の盲点を突いてきた強盗団を撃退できるか? 借金に追われ、お尻に火が点いた状態で次々と映画に主演するニコラス・ケイジ。彼が現代の米国を象徴するスターであることは間違いない。
(文=長野辰次)
『ハングリー・ラビット』
製作/トビー・マグワイア、ジェームズ・D・スターン 監督/ロジャー・ドナルドソン 脚本/ロバート・タネン、ユーリー・ゼルツァー 出演/ニコラス・ケイジ、ジャニュアリー・ジョーンズ、ハロルド・ペリノー、ガイ・ピアーズ
配給/ショウゲート 6月16日(土)より新宿バトル9ほか全国公開中 <http://hungry-rabbit.com>
(C)2011 HRJ DISTRIBUTION, LLC
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