押井守の“新作映像”『重鉄騎』スペシャルトレーラー本邦初公開に湧いた!
#ゲーム
実際の戦車はとにかく狭い。その狭さをどうやって表現しようかと思ったと、押井監督は言う。
実際にカメラを戦車に潜り込ませれば、アニメやCGのように都合よくは表現できない。そこが狙いだったようだ。
ゲームの『重鉄騎』も、まさにその狭い環境に閉じ込められた状態を、Kinectを介して味わうもの。プレイヤーが共感できる戦車兵を、トレーラーは描いているというわけだ。
ゲーム中ではアメリカ軍と「アジアの大国」率いる国連軍が戦っているが、戦車が映える舞台として、トレーラーではあえてヨーロッパを選んだ押井監督。
ポーランド語しか喋らない金髪の女性兵士は、疫病神なのではないかと、部隊内でささやかれる。そして上官を殴った彼女とともに最前線送りとなり、死にそうな目に遭って、こいつは疫病神どころか死神だ──と再認識するストーリーを構想した。
これを具現化するためにポーランドロケを敢行。民間払い下げのT-55(ソ連製の戦車)を使って撮影した。高価な弾丸は200発を用意したが撮影でほとんどを使い切った。押井映画につきものの犬もその場(演習場)で調達したという。
戦車内には狭くてふたりしか入れず、押井監督は外でモニターを見ながらトランシーバーで指示を出した。
『重鉄騎』には、統率と称して部下を殴るアクションが用意されている。試遊台にも、ときおりシャドーボクシングを気持ちよさそうに繰り出しているプレイヤーを見かけたが、そういう身体感覚を捉えているあたり、トレーラーはよくゲームを反映しているし、トレーラーからゲーム性を類推することもできるという点で、このゲームと映像のコラボレーションは興味深い。
「『重鉄騎』には、ぼくがやりたいことにかなり近い部分があって、トレーラーになったら絶対おもしろいと思いました。ゲームがいっぱい売れてくれたらカプコンさんは映画にしてくれるのではないかと思っているんで、みんなに買ってほしい」(押井監督)
押井守監督のコラボレーショントレーラーは『重鉄騎』公式サイトで観ることができる。
http://www.capcom.co.jp/jutekki/
16時からのステージでは北林達也プロデューサーと片岡謙治プロデューサーが注視するなか安藤行男ディレクターが実演したものの、国連軍の新型兵器である「重鉄騎」と対峙するステージで見事に「重鉄騎」に倒されてしまった。
容易には敵を倒せない歯ごたえのあるゲームを、Kinectによるダイナミックな身振り手振りと、コントローラーによるプレイヤーの乗る鉄騎の移動と射撃のボタン操作という、2つの併用で攻略していくゲーム性に会場のプレイヤーはみな嬉々として少年の面持ち。テストプレイの評判もよいとのことで、北林プロデューサーは「触ってもらうとわかる」と自信に満ちた表情。21日の発売に向け、上々のデモンストレーションとなったようだ。
(取材・文=後藤勝)
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事