やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』
#映画 #パンドラ映画館
読まなくてもいいかなと思える現場でした」と
記者会見でビックリ発言。
誠(妻夫木聡)の生活費を捻出するため、お嬢さまの愛(武井咲)は校則を破って怪しげなカフェで働き始める。カフェというよりも、風俗店だ。蔵王権太役の伊原剛志(49歳)は学生服姿で暴れ回り、岩清水の名ゼリフ「君のためなら死ねる!」も盛り込んである。誠に一蹴されたスケ番のガム子(安藤サクラ)は誠に夢中になっていく。クールなワルを気取っている誠でさえ、ひとりの女性に振り向いてほしくて歌舞伎町の小さな店に通い詰める。ミュージカルシーンや登場キャラクターたちのベタな行動に腹を抱えて笑いながらも、次第に彼らの行く末が気になり始める自分に気づく。誰よりも由紀のことを慕う権太や自分が誠に恋したことに戸惑うガム子の純情は果たしてどうなるのか。バカじゃないのと毒づきながらも、愛と誠が幼少期のトラウマから解放されればいいのにと思う。原作の発表からいくら歳月が経っても、人間の根っこの部分はそう変わらないらしい。ケータイや最新のスマートフォンを持つようになっても、人間の本質はおそろしくベタで、信じられないほどバカなのだ。
最後にコワモテで知られた原作者・梶原一騎にまつわるトリビアを。梶原一騎はペンネームであり、本名は高森朝樹という。その“梶原”の由来だが、ヤンチャぶりの度がすぎて親から教護院「誠明学園」に送られた高森少年は学園でひとりの少女と出会い、若いロマンスを育んだ。その少女の姓が“梶原”だった。教護院で心を通い合わせた少女の姓を、作家を志した高森少年は名乗るようになる。その後、劇画原作で富と名声を手に入れた彼は松竹での『愛と誠』三部作の映画化をきっかけに芸能界に深く関わるようになり、晩年はスキャンダルまみれとなっていった。それでも、どんなにドロドロに汚れまくりながらも高森朝樹は心の中の小さな小さなロマンスを大事にした。“梶原一騎”というペンネームを50歳で亡くなる最期まで使い続けた。
(文=長野辰次)
『愛と誠』
原作/梶原一騎、ながやす巧 脚本/宅間孝行 音楽/小林武史 振付/パパイヤ鈴木 監督/三池崇史 出演/妻夫木聡、武井咲、斎藤工、大野いと、安藤サクラ、前田健、加藤清史郎、一青窈、余貴美子、伊原剛志、市村正親 配給/角川映画・東映 6月16日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー (c)2012『愛と誠』製作委員会
<http://aiandmakoto.jp>
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事