「おいしい店が繁盛するとは限らない!」お手軽さだけじゃない、駅そばの奥深き世界
#食
鈴木 うーん、これは非常に難しいんですが、あえて言うならバランスでしょうか。人によると思いますが、駅そばって、麺だけおいしくてもダメなんですよ。麺がおいしいのに汁が化学調味料丸出しだと、バランスが悪くて逆にマイナスになってしまうんです。どちらかというと、麺も汁もそこそこだけどすごく合っている、というほうがおいしいんです。一番の理想は平均点がある程度高くて、何かひとつが秀でているということ。価格が価格なだけに、すべてを満点にするのは難しいんですよ。
――トッピングに向いているもの、向いていないものってあるんですか?
鈴木 揚げ物や練り物は間違いないですね。あとは、肉や魚。鍋料理に入るようなものって、だいたいなんでも合うんですよ。向いていないものはあんまり出会ったことはないんですが、以前、宇都宮駅で販売していた焼き餃子がのった駅そばはひどかったですね。ちょうど、ご当地モノが全国的に広がっていった時期で、軽い気持ちで乗っけてみたんでしょうけど……。逆に一見ゲテモノで、これは合わないだとろうと思って食べたらおいしかったのは、大阪で食べたたこ焼きそばですね。紅ショウガの風味がよく合っておいしかったですよ。
――意外! 鈴木さんは著書の中でも「駅そばは日本の縮図だ」という名言を残されていますが、日本全国、驚くほどいろいろな駅そばがあるんですね。
鈴木 駅そばには、ご当地的な個性と、アイデア的な個性の2つがあるんです。地域性が出てきたのは、ここ最近だと思います。この業界は協会みたいなものがないので、横のつながりってあんまりないんですよ。たぶん平成に入ってから、どこかがご当地的なものを出したら当たって、じゃあうちもやってみるか、という感じで広がっていったんじゃないでしょうか。先日、東急の「しぶそば」の方たちとお会いする機会があったんですが、近隣の電鉄系の駅そばの動向をすごく意識されてましたね。ここ数年は各社、夏場の冷たい麺に力を入れていて、アイデア合戦が繰り広げられていますよ。
――駅そば業界といえば、JR東日本グループの、日本レストランエンタプライズ(NRE)の参入の影響がすごく大きかったとか。
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