「おいしい店が繁盛するとは限らない!」お手軽さだけじゃない、駅そばの奥深き世界
#食
早くて安い、日本の元祖ファーストフード・駅そば。そんな駅そばを愛し、通算1万杯以上を食している人物が、駅そば研究家の鈴木弘毅氏だ。『ご当地「駅そば」劇場』(交通新聞社新書)の著者としても知られる鈴木氏だが、彼がハマる駅そばの魅力とは一体なんなのか。本人に話を聞いた。
――テレビや雑誌などで、“駅そば研究家”として活躍中の鈴木さんですが、そもそもどんなきっかけで駅そばに目覚めたんですか?
鈴木弘毅氏(以下、鈴木) 大学3年生の時に阪神大震災があり、ボランティア目的で関西を訪れた時に姫路駅の「えきそば」と出会い、そこから駅そばは地域によって見た目も味もまったく違うということを知ったんです。早さ・安さに加え、地域やお店ごとの特色がすごく表れるというところに魅力を感じまして。それと、一杯のそばの裏側にあるお店の人の努力と、その背景ですね。
――「駅そば」の定義って何かあるんですか?
鈴木 あくまで僕の中での定義ですが、立地は駅構内のほか、駅の外でも駅の利用者がついでに寄れる範囲。一応、徒歩5分と決めているんですが、可能な限り、拡大解釈しています。そのほうがサンプルが多く採れて研究に役立ちますから。価格はたぬきそば400円が目安、メニューはそばを主力としているお店ですね。
――これまでに全国約1,700軒に足を運ばれたそうですが、お店に入ったらどういうところをチェックするんですか?
鈴木 味・ボリューム・値段・衛生面・サービス・その他の6項目を、それぞれ5段階で評価しています。「その他」は付加価値で、基本的にはゼロ点なんですが、5点以上付けることもあります。地方ではその土地の名物をチョイスすることが多いですが、都内で初めて入るお店は、ほぼ100%たぬきそばを頼みます。僕の中では、一番その店の実力がわかるメニューなんです。天ぷらそばだと油が乗りすぎて汁本来の味がわからなくなってしまいますし、かけそばだと物足りない。きつねそばは、きつねの甘い煮汁で味が劇的に変わってしまうんです。
――ノートを拝見する限り、評価は厳しめのようですね。これまでの研究の結果導き出された、おいしい駅そばの条件って何かあるんですか?
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