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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > TBS『テベ・コンヒーロ』の悪意
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第1回

怖さと面白さが同居した新たな笑い?『テベ・コンヒーロ』の悪意

tebekon.jpgTBS『テベ・コンヒーロ』公式サイトより

「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。

 今、テレビは火曜深夜が騒がしい。

 ボビー・オロゴンが、米俵を抱えて東京タワーを往復するというニセ企画でヘロヘロにさせられ、その後、下で待ち構えていたアンガールズ山根に相撲を仕掛けられる。続いてボビーは、ランニングマシンに乗せられ、ヘトヘトになったところでまた山根と相撲。さらに今度は、手錠をかけられたまま山根と相撲。これで終わりと思いきや、うさん臭い催眠術師の催眠術に乗っかり、いや効いてヘロヘロに。自力で立つことができないほど腰砕け状態のまま、また相撲……。
 
 それは名実ともに「新しいクソ番組」が誕生した瞬間だった。

 これは「ガリガリがムキムキに相撲で勝つにはどれくらいヘトヘトにさせればいい?」という“疑問”を検証した『テベ・コンヒーロ』での一コマである。

 TBSで今年4月から火曜深夜に放送されているこの番組は、3月まで同局で放送され打ち切りの憂き目にあった『クイズ☆タレント名鑑』と同じく、ロンドンブーツ1号2号の淳を司会に、ほぼ同じスタッフが集結して立ち上げられた。

 番組名の由来は、プロレスの「トペ・コンヒーロ」という技の名前から。トップロープを飛び超え、リングから場外の相手に向かって前方回転をしながら体当たりする無謀な技だ。ちなみに「テベ」は「テレビ」を意味しており、この番組の意気込みが感じられるタイトルだ。「世の中にあるさまざまな疑問を検証して解決する」という名目で、放送ギリギリの盛大な悪ふざけをしている。

 その真骨頂が、5月29日に放送された「コウメ太夫で笑う芸人など存在するのか?」という疑問を検証した「コウメ太夫で笑ったら即芸人引退スペシャル」(タイトルはもちろん、プロレスで橋本真也が行った「小川直也に負けたら即引退スペシャル」のパロディ)だ。放送前にこの企画を報じた「お笑いナタリー」の記事のリツイートが、軽く1000件を超えるという異常事態。深夜番組の一企画が放送前にも関わらずこれだけ話題を集めたのは異例のことだ。そして、放送はその期待を上回る強烈な印象を残すものだった。

 コウメ太夫といえば、賛否が渦巻いていた『エンタの神様』(日本テレビ系)をある意味で象徴する芸人である。太夫の格好であるあるネタをリズムに乗せ披露し、最後に「チクショー!」と締めるのがフォーマットだ。「キャラ」「あるある」「リズム」「決めゼリフ」と、これでもか、という安易なパッケージ。当然ながら、お笑い好きであればあるほど、酷評していた。

 ゲストの有吉弘行やおぎやはぎも口々に「コウメ太夫で笑ったことなんてない」「そもそも『エンタ』で笑ったことはない」と言い合い、「笑ったら(芸能界を)引退するくらいだ」と企画に乗っかり舞台を整える。

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