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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 呪われた番組“ラビリンズ村”
山口敏太郎の摩訶不思議ぶった切り VOL.8

共演者が次々とトラブルに襲われた……呪われた番組“ラビリンズ村”

 だが、5時のサイレンが鳴り、ふと周囲を見渡すと、誰もいなくなっていた。あたりをいくら探しても、筆者とスタッフしかいない。さっきまで野菜を収穫していた老婆や、耕運機を動かしていた老翁の姿が忽然と消えてしまったのだ。

 不気味である。まるで『千と千尋の神隠し』のように、先ほどまで人間がいた感覚が残る無人の空間が延々と続いている。摘まれた野菜、道端に止められた自動車、井戸の横でなみなみと水が溜まった木桶。さっきまで居た人々はどこに行ったのか。

 焦った筆者とスタッフは、だんだんと闇が降りてくる村の中を車で必死に走りまくった。だが、何度走っても同じ道に出てしまい、村の中からなかなか出れない。どうやら、三角錐のような山の中腹をぐるりと走る村道をくるくる廻っているだけのようだ。

 何度か迷走した後、ようやく脇にあった下り道を発見、麓の町まで移動することができた。これは筆者の推論であるが、山村で働いていた老人たちはかつて自分たちが住んでいた山村の田畑で農作業をやり、夕方になると麓の家まで帰宅するのではないだろうか。山村にあった旧宅は農作業中の休憩場所として使用するだけであり、基本的には病院やライフラインが充実している町の住宅で寝ているのではないだろうか。

 まさに「ラビリンズ村」に相応しい場所であると筆者とスタッフは痛感し、その日のロケを終えた。放送も順調に終わり、視聴率はまずまずであったのだが、その番組がレギュラー化されることはなかった。

 実は、担当したスタッフのトップが薬物で逮捕されてしまったのだ。やはり、僧侶が言った「ラビリンズ村の呪い」は現実だったのかと思いを馳せたが、共演者にも続々と不幸なことが起きている。

 MCをやっていた陣内智則さんは離婚に追い込まれ、コメンテーターに呼ばれていたのは、事務所からの独立問題で揺れた眞鍋かをりさんと、現在窮地に立たされている次長課長さんだった。やはり、この世の中には踏み込んではいけない場所があるのであろうか。
(文=山口敏太郎)

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●やまぐち・びんたろう
1966年7月20日生まれ、徳島県出身。血液型AのRHマイナス。作家・漫画原作者・ライター・オカルト研究家などさまざまな肩書を持つ。UMAや心霊・都市伝説など、あらゆる不思議分野に精通する唯一のオールラウンドプレイヤー。

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