5月の風吹くお台場に超ディープな10代バンドが集結!? 「kids these days!」イベントレポート
こちらはニューウェーブの香り漂うひねくれたインディーロックで、「80年代の女性パンクバンド、パパイヤパラノイアに近い」(加茂氏)、「ラウドだけど戸川純っぽい」(大山氏)といった感想が飛んでいた。このけったいな音楽性はどこから来たのか。ボーカル/ベースのなつみちゃんによれば「最初は普通の音楽だったんですけど、曲の通りに歌えなくて、コノヤロー、もういいや、ジャーン!」とのこと。ぜんぜん説明になってないけどカワイイから許す!
実は、彼女らの母校である東京都立第一商業高校(東京都渋谷区)の軽音部は、超スパルタで有名なのだ。あまりの厳しさに、ドラムのありかちゃんは「貧血になったり髪の毛が抜けたり……思い出すと手が震える」、ギターのちこちゃんも「アニメの『けいおん!』は好きだけど、見ててツラくなる。そんなんじゃ、うまくならないよ!」と、しっかりトラウマを植え付けられていた(このあたりの地獄の日々は『kids~』vol.1にたっぷり収録)。自由奔放でぶっ壊れたプレイスタイルは、ストイックすぎる軽音部生活への反抗から生まれたのだろうか?
そして、トリを務めるのは「挫・人間」。ボーカル/ギターの下川諒くんが中学生のときに、現在“コンプガチャ問題”で揺れるモバゲーでメンバーを集め、結成(現代っ子!)。昨年はズボンズと「月巻ズボン人間」なるイベントを共催していた実力派だ。
サブカルをこじらせた非モテ男子がルサンチマンを吐き出して……なんて書くとひどく陳腐だが、そのエネルギーの放出量たるやすさまじく、この日最大の爆音で聴衆を圧倒した。加茂氏は「すごく面白かった。お金の臭いがまったくしない!」と絶賛(?)。また、大山氏が「70年代の『少年チャンピオン』に出てきそう」と評する下川くんのキャラがとにかく強烈。ライブ中は終始挙動不審で、
「金が、金が欲しいんですよ」
「弦が切れたのかおまえ!? いいじゃない、弦くらい」
「CDが売れないっていいますけどね、そこで売ってるんだから買ってくださいよ。ステッカー付きで、ステッカーがメインです」
「いとおかし!」
などと、つかみどころのないMCをしていたかと思えば、自分のファーストキスの相手だった実家の犬が死んでしまった話から、なにやらセンチメンタルな名曲「天国」へ雪崩れ込み、会場から拍手が沸き起こり……って、なんだそれ、ズルいよ!
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