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【特集】AKB48 27thシングル選抜総選挙

AKB48の強さは「メッセージ力」 総選挙を行う真の理由の裏に潜む“承認欲求”の真実(前編)

akb0000.jpg昨年の総選挙。抱き合う前田と大島。

「“偶像としてのアイドル”を“そこに生きているアイドル”に変えたい」

 AKB48総合プロデューサー・秋元康氏はそう語る。AKB48がここまでブレイクした要素のひとつがその言葉通り、「等身大のリアリティ」だろう。だが、AKB48が一般の女性より、持っているものがあるとすれば、それは「メッセージ力」ではないだろうか……。

 6月6日に日本武道館で最終結果が発表される「AKB48 27thシングル選抜総選挙」。2009年の第1回から回を増すごとにその注目の度合いを強め、中でもメンバーたちが順位発表の際に語る“魂の咆哮”ともいえる壇上での発言も話題を呼んできた。前田敦子の「AKB48に一生を捧げる」、大島優子の「背中を押してくださいとは言いません……ついてきてください!」など数々の名シーンが生まれてきたが、その背景には、AKB48ならではの“強さ”である「メッセージ力」が潜んでいる。

 AKB48グループの最大の特徴は、「ほぼ毎日劇場で公演を行い、ファンと間近で触れ合いながら、成長するプロセスを見せること」。だが、メディアでしかAKB48を見ていない人々は知らないだろう。劇場で何が行われているのかを……。そして、多くのファンが何に魅かれているのかを……。「AKB48のどこがいいのかわからない」。その言葉ももはや聞き飽きた。いまだにAKB48を肯定できないアナタにお届けしよう。AKB48とは何者なのか? 総選挙がなぜここまでファンを熱くさせるのか? AKB48が「選抜総選挙」を行う真の意味を検証する。

■総選挙開始の理由「総選挙はファンからの通信簿」

 AKB48のシングルは全メンバーから20人前後の選抜メンバーを秋元康総合プロデューサーおよびスタッフが決定してきた。だが、固定化傾向のあったその人選にファンは常々疑問を呈しており、その声を汲んで、行われたのが09年の第1回選抜総選挙「AKB48 13thシングル選抜総選挙」だった。

 アイドルグループの事実上の人気順を白日の下にさらすというタブーを打破した結果、メンバーは互いを仲間であるとともに、切磋琢磨しあえるライバルだと再認識した。さらに、メンバーは票を投じたファンの存在によって、ステージに立てていることを実感し、自らのタレントとしての存在理由を再考する機会を与えられたのだ。中でも、順位が発表される度にメンバーは壇上でファンへの感謝、夢への情熱を語り、その感情むき出しの言葉は見る者の心を打った。

 「総選挙はファンからの通信簿」とも言われるが、まさに通信簿のように、順位を発表することで、今、各自が置かれている状況を明らかにし、メンバーに成長を促しているのだ。そして、ファンはメンバーに投票することで、プロデューサー感覚を味わえる。握手会でダンスについてのアドバイスを語り、メンバーを成長させることもできるAKB48だが、総選挙では、シングルに参加できるか否かもファンの投票によって決まる。だが、シビアに順位が出るものの、上位だからと言って慢心できるわけはなく、結果をどう受け止めるかは、メンバー本人の心次第。プロ野球でファンによる投票で選抜された選手が出場する「オールスターゲーム」のように、年に一度の祭りのようなイベントとして、定着している。

■改めて問う劇場公演の意味 公演によって培われるメッセージ力

 AKB48がここまでファンの心をつかんだ理由は「メッセージ力」だ。それは日々行っている劇場公演で培われている。最前列までの距離はわずか1.5m、滴る汗や息遣いまで見え、演者と観客の視線の真剣勝負のような劇場で、メンバーたちは16人1チームという人数ならではのダンスパフォーマンスを行う。狭い範囲でフォーメーションがめまぐるしく変わるダンスは、一人が陣形を乱せば破綻する。そのため、メンバーたちには日々レッスンに励み、先輩・後輩を通り越した強い結束が生まれるのだ。

 ポップなアイドルソングから、ダークな曲、バラードなど多彩な曲(その詳細は、公演楽曲300曲を解説した拙著『AKB48神公演クロニクル』<メディアックス>に詳しい)が並ぶ公演を通して、表現力を学ぶ一方、公演で重要なのが、MCタイムのトーク。実際、2時間の公演の曲間に行われるMCタイムは合計25分~30分ある。台本の一切ないそのMCで語られるのは、お題に沿ったテーマトーク。“箸が転がっても面白い”世代が多い故のブットんだトークで笑いも誘う一方、メンバーが真剣に自らの思いを語るのが劇場名物の「生誕祭」だ。

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