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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 文春、他誌圧巻のスクープ力
元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第139回

紳助の次はエリカ様! ‟2011年下半期週刊誌売上No.1”文春のスクープ力

 第2位は新潮の、6億円ものカネを集めて海外へ逃げた慶大生の記事である。

 この「事件」は、戦後の混乱期に東大生が引き起こしたヤミ金融事件、世にいう「光クラブ事件」を思い起こさせる。

 22歳の慶大生がどうやって6億円も集められたのだろうか?

 被害にあった都内に住む43歳の会社経営者は、知人にも紹介して4人で3億5,000万円投資したというから、6億円という数字は信憑性があるようだ。

 慶大生は東京・日本橋兜町に事務所を構え、コンピュータで東証1部上場企業の株を運用するシステムを開発し、元本保証の上に、必ず儲かると話して、投資させていたそうだ。

 そんな話に騙される人間がまだいたことにも驚くが、慶大生は、

「財布を持ち歩かず、いつもスーツの内ポケットに200万円ほどを裸で忍ばせていた。“友達の誕生会で六本木のキャバクラを貸し切りにして、200~300万円使った”“代々木公園で花見をした時、ドンペリなどのシャンパンを50本持っていったがほとんど飲まずに捨てた”“福島県の工場に投資しているため、東日本大震災以後はヘリをチャーターして東京と往復している”などと言っていました」(知人)

 車は4,000万円は下らないドイツのマイバッハをはじめ、BMW、メルセデス・ベンツ、リンカーン・タウンカーなどを持ち、投資家たちに運転手付きで貸していたという。

 笑えることに、その運転手というのが慶大生の父親だったのだ。

 「事件」が発覚して、被害者たちが東京地裁に民事提訴すると、慶大生は秘書役だった女子大卒の娘と海外に高飛びしてしまった。シンガポールからマレーシアにいるという情報があるという。

 運転主役をやっていた父親は新潮の取材に対して、

「息子がやったことですから、関係ありません。親であっても、親じゃない」

 などと、訳のわからない弁明をしている。

 「光クラブ事件」の主犯・山崎晃嗣は、私の住んでいる近くの中野区鍋屋横町に事務所を設立し、月1割3分の高配当を謳って当時のカネで約3,000万円も集めた。

 この事件を題材に三島由紀夫が『青の時代』という小説を書いている。山崎は服毒自殺を遂げたが、平成版「光クラブ事件」はどういうエンディングを迎えるのだろうか。

 今週のグランプリは、2週続けて文春の記事。

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