あの最強コンビが帰ってきた!『メン・イン・ブラック3』
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今週紹介するのは、スティーブン・スピルバーグ製作総指揮の人気SFアクションシリーズ最新作と、皮肉とユーモアの効いた現代劇の巨匠ウッディ・アレンが監督した話題のラブコメディ。一見共通点の少なそうな2本だが、どちらの主人公も“タイムスリップ”を体験し、時代錯誤ネタの笑いがアクセントになっている点は見逃せない。
5月25日公開の『メン・イン・ブラック3』(2D/3D上映)は、地球に生息する異星人を監視し、トラブル発生時には直ちに対処し目撃者たちの記憶も消去することで平和を維持している極秘組織、「MIB」のエージョント2人組の活躍を描くシリーズ第3作。エージェントK(トミー・リー・ジョーンズ)にかつて捕らえられ、月面刑務所に収監されていた極悪異星人ボリスが脱獄。KとエージェントJ(ウィル・スミス)は地球に舞い戻ったボリスに遭遇するも、取り逃がしてしまう。ボリスがタイムマシンで40年前に戻りKを亡き者にしたことを知ったJは、自らも過去へ。Jは若き日のK(ジョシュ・ブローリン)と協力し、ボリスの悪事を未然に防ごうと奮闘するが……。
「政府は宇宙人の存在を隠蔽している」という陰謀論を面白おかしくプロットに活かし、黒スーツに黒サングラスをまとった無愛想なKとお調子者のJが、不良エイリアンたちをクールに退治する本シリーズ。コンビの絶妙の掛け合いは本作でも健在だが、2人の知られざる出会いとKが胸に秘めた過去に迫るのが新趣向。グロテスクでちょっとユーモラスなクリーチャーの造形も相変わらず見事で、今作ではクライマックスのアポロ11号打ち上げシーンがド迫力だ。高所から落下する場面は3D映像の効果でスリル倍増。ハラハラドキドキの展開に笑えるネタも満載、感動秘話も明かされる見どころいっぱいの娯楽作だ。
続いて5月26日に封切られる『ミッドナイト・イン・パリ』は、アレン監督によるユニークな脚本と豪華キャストが話題のロマンチックな喜劇。ハリウッドで売れっ子の脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)と共に憧れのパリへやってきた。だが、歴史ある文化の街パリに引っ越して小説を書きたいと願うギルと、偶然再会した男友達ポール(マイケル・シーン)と遊び歩くイネズの心は離れていくばかり。深夜の街をさまようギルが、旧式の車で通りかかった男女に誘われるまま訪れた古風な店には、1920年代のパリで交流した著名文化人たち、S・フィッツジェラルドやヘミングウェイらが集っていて……。
アレン監督が分身的キャラクターのギルを通じてパリへの愛を語る、ウィットに満ちたストーリー。第84回アカデミー賞で自身3度目の脚本賞を獲得した。女性たちが象徴するのは、婚約者イネズが浅薄な現代のアメリカ、“深夜のパリ”で出会うアドリアナ(マリオン・コティヤール)が古き良きフランス、そして『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(2011)のレア・セドゥーが扮するアンティーク店の娘は新しい時代のフランスといったところか。キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディなど演技派俳優たちもぜいたくに脇を固める。歴史が染み込んだパリの街並み、1920年代の黄金時代を再現したセットや衣装、ウィットに富んだ会話など、すべてが芸術作品のように味わい深い。とはいえ、決して懐古趣味だけでない、今を生きる私たちへのポジティブなメッセージも込められた快作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『メン・イン・ブラック3』作品情報
<http://eiga.com/movie/55278/>
『ミッドナイト・イン・パリ』作品情報
<http://eiga.com/movie/56604/>
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