「まんが王国とっとり」への効果は? 『孤独のグルメ』谷口ジロー原画展が開催
#マンガ #久住昌之 #孤独のグルメ
もはや、知らない人はいないというくらいの人気を博しているグルメ漫画『孤独のグルメ』(扶桑社)。主人公が腹が減ったら飯を食う、ただそれだけのことをドラマチックに描いている作品だ。その原画や関連資料を集めた原画展が、6月1日から明治大学の米沢嘉博記念図書館で開催される。会期中には、関係者によるトークショーも行われる予定だ。
今年は1月には松重豊主演で実写ドラマ化され、話題になったことも記憶に新しい。現在は「週刊SPA!」(扶桑社)誌上で不定期連載されている本作が『PANjA』(同)で連載開始されたのは、1994年10月のことである(連載開始から終了までの経緯はコチラ)。当初はとてつもなくマイナーだった(有り体に言えば、掲載誌があまりにも売れていないので誰も知らない)この作品が、世紀をまたいだ人気作品になるとは、誰が予測しただろうか。
人気の源泉として挙げられるのは、原作者の久住昌之氏と作画の谷口ジロー氏の共同作業によって生み出された、独特のユーモアであろう。この作品を愛する人々は、焼肉屋に行けば必ず「ごはんまだかな……」とつぶやき、「このチャプチェ、食べてみようかな」と、とりあえず注文するはず。回転寿司を食べに行けば「最後の2枚が効いたな……」となるだろうし、夏に野球場に行けば半裸になって「頑張れ、頑張れフトシ!」と、応援するはずだ。おそらく、ムカつく食堂の店主にアームロックをかける以外の大抵のことは、今日も日本のどこかで行われているだろう。
過去のさまざまな取材記事を読むと谷口氏は、最初にこの仕事が来たときに「なぜ、自分なのか」戸惑ったらしいが、結果的に谷口氏がいたからこそ『孤独のグルメ』は現在も人気を博す作品になり得たといえる。
今回の原画展は、8月4日から11月25日にかけて「国際まんが博」を開催するなど、漫画を使った地域振興に力を注いでいる鳥取県の協賛で開催される。この「国際まんが博」では、なぜかディズニーのキャラクター「スティッチ」を起用する方針であることが発表され、同県の「まんが王国とっとり建国推進委員会」の委員を勤めるアニメプロデューサーの赤井孝美氏から「くだらないと思います」と批判されたり、県議会でも追及されたりと混乱気味(結局、スティッチはメインで使うわけではないらしい)。
谷口氏は、水木しげる氏や青山剛昌氏と並ぶ、同県出身の著名漫画家の一角だ。この原画展が、メインの「国際まんが博」への集客効果をもたらすことを期待したい。
(文=昼間たかし)
●孤独のグルメ 谷口ジロー原画展
会場:明治大学米沢嘉博記念図書館1階展示室
(東京都千代田区猿楽町1-7-1)
期間:2012年6月1日(金)~9月30日(日)
月~金 14:00~20:00 土日祝 12:00~18:00
休館日:毎週火・水・木曜 (祝日開館)、8 月26 日(日)・27 日(月)
<http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/exh-jiro_taniguchi.html>
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