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日刊サイゾー トップ > 社会  > 武道必修化に疑問の声

「高速バス事故と同じ、事故が起きてからでは遅い」中学校での武道必修化に疑問の声

 確かに、強い選手だったからといって指導力があるとは限らない。だが、それでも指導的な立場になってしまうのが現状のようだ。

 さらに、学習指導要領の「過密スケジュール」を指摘する声もある。指導要領では、年間10時限で武道のひと通りを教えることになっている。例えば柔道なら、基本から受身、乱取りまでということになる。しかし、実際の武道関係者や体育教師などに聞くと、「まず無理」と口をそろえる。

「10コマではせいぜい、礼儀と受身までがやっと。乱取りなんて、危なくてできない」(神奈川県の公立高校体育教師)

 こうした問題点が指摘されながら、導入前は一部のメディアで取り上げられた程度で、4月以降は話題になることはほとんどない。その状況について、あるメディア関係者は「マスコミの体育会系人脈が邪魔している」と指摘する。

「新聞の幹部クラスや雑誌の編集長レベルなどには、大学の体育会系出身者が少なくないわけです。それで、体育会系を擁護するような傾向がないとはいえない。天下りと同じような構図ですよ」

 ほかにも、スポーツ界や武道関係の人脈や、そうしたものに関係した「利権」についても数々の指摘がある。

 今のところ、武道の導入による問題や事件は中学校で起きていない。だが、何も起きていないからといって安全が確保されたとはいえない。まさに、関越道のバス事故と同じで、何かが起きてからでは遅いのである。
(文=橋本玉泉)

最終更新:2012/05/11 21:00
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