インド映画はすごいんど! 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!!
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そして、何よりも重要なことは、アイデアはあくまでもドラマを生かすためのツールであること。様々なSFロボット映画の要素を取り入れながらも、タイトルロールであるロボットのチッティは人間の言うことはすべて受け入れるイノセントな天使、そして正義のヒーロー然とした存在から、生身の女性を愛してしまったことから支配欲に突き動かされて大暴走を始め、殺戮マシンへと大変貌を遂げる。クライマックスでは、巨大で邪悪な“破壊神”にまで変わり果てる。自分勝手で嘘つきな人間を愛してしまったこの機械人形の愛の深さとそれゆえの暴走ぶり、そしてチッティが愛する者へ投げ掛ける最後の言葉が、観る者のハートを揺さぶる。
ラジニ本人がやったとのこと。ヨガと食生活の
改善で大復活。さすが、インドのスーパースター。
SFもののお約束を逆手にとった展開もお見事だ。SFロボットもので必ず触れられるのが、SF作家アイザック・アシモフが提唱した「ロボット三原則」。ロボットは人間に危害を加えてはならない、人間の命令に従わなくてはならない、自分を守らなくてはならないというもの。『鉄腕アトム』をはじめロボットものはすべてこの大原則が前提となっているが、バシー博士が「チッティにはロボット三原則をプログラムしていませ~ん」と高らかに宣言するくだりは目からウロコ。バシー博士がチッティを開発したのは、何とロボットをインド軍に採用してもらうためだったのだ。ロボットでインド軍を編成すれば、インド兵は血を流さなくて済むというのがバシー博士の言い分。このオッサン、主人公のくせにマッドサイエンティストだよ。どこまでインド映画はフリーダムなんだ。あらゆる固定観念から解放してくれる無軌道な奔放さが、本作にはある。
こんなにも自由さとエネルギッシュさに溢れた傑作インド映画の日本公開を決めたのは、配給会社アンプラグドの代表・加藤武史さん。アンプラグドは社員数5人という小さな会社だが、大手配給会社ではないからこそ『ロボット』を買い付けることができたようだ。
加藤 「『ロボット』を初めて観たのは2011年の春先。その年の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」に出品が決まったと聞いて、YouTubeで予告編を見たんです。とんでもない予告編で、一発でクギ付けになりました。『ムトゥ』以降、日本ではまったくインド映画は当たってないことは知っていましたが、これはもう日本で公開するしかないと即決(笑)。当然、日本でも他の大手配給会社も動いて、5社が手を挙げたんです。でも、インド映画は契約するのが非常に面倒。インドって言語が14に分かれていて、『ロボット』はタミル語とヒンディー語の2バージョンあり、それぞれ上映時間が169分、177分と異なり、他国ではありえないことですが、著作権が別々になっているんです。さらに問題があって、インドは映画業界、政界、裏社会の繋がりが強いんです。それで『ロボット』の製作会社の重役たちがみんな、政界の汚職事件に連座して刑務所送りになってしまい、製作側の担当者が不在(苦笑)。そういう状況だったので、他の配給会社は諦めてしまった。多分、あまりにリスキーなので、会議でまとまらなかったんでしょうね。その点、うちの会社は少人数ですから、ボクが「買う」と決めればOK。インドの代理人を通して、タミル語とヒンディー語の2バージョンを両方とも購入することにしたんです」
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